とうとうゴンくん達が試しの門から自力で入ってきたと、連絡があって屋敷へ向かう。

「ゴンくん、久しぶり」
「ナマエちゃん!」
「その顔、どうしたの?!」

執事室に入ると、そこには怪我をしてる上に顔まで腫れてしまったゴンくんがいた。見るからに視界も悪そうだし、痛そう。

「……ちょっとね!それにしてもさすがキルアの家だね。ここまで来るのに時間かかっちゃった」
「うん、でもゴンくん達が敷地に入ってたのはイルミから聞いてたよ」
「聞いてたのに音沙汰なしかよ、ナマエちゃんもひで〜な……」
「ナマエにも事情があったかもしれないのに失礼だぞ、レオリオ」
「大丈夫だよ、クラピカさん。……いずれここに来れるようになるって分かってたから待ってたの」

ゴンくんはもちろん、3人を見れば最後に会った時とは一目瞭然。試しの門で鍛えられてきた証拠にしっかりと筋肉が無駄なく付いている。

「もうすぐキルアもここに来るって!ナマエちゃんも一緒に行こうよ!」
「……ゴンくん、」
「それは無理な話だぜ、ゴン」
「キルア!」

にこにこと期待に溢れた目で見られたら、困ってしまう。きっと一緒に着いて行ったら楽しいんだろうなって思う。……思うんだけど、行きたいと思うのとはまた違う。
それを、なんて言ったら良いか悩んでるとタイミング良くキルアが来た。まだ残ってる痣を上手に隠してるけど、ゴンくんの方が見た目が痛々しいから全然分からない。

「ナマエは、兄貴が離さねぇんだよ。だから俺達だけで行こうぜ」
「……そうなの、ナマエちゃん?」
「あー……うん、お恥ずかしながら」
「そっか、ならしょうがないね。でも、また会えるよね?」
「うん、また会おう!約束!」
「約束!」
「……ゴンくん、ありがとう」

にっこり笑ったゴンくんの笑顔を見たら。無性に抱きしめたくなったけど、我慢我慢。ああ、でもキルアと並べて置いておきたいくらい可愛い。そして良い子。
イルミのこともあるから、もしかしたら嫌われてしまったんじゃないかって、本当はちょっと怖かった。

「ゴンくん、キルアをよろしくね」
「……うん」
「て、なんだよそれ!俺をお荷物みたいに言うなよ!」
「だってキルアって我が儘だから、皆に迷惑かけないか心配なんだもん」

ゴンくんとのやり取りを黙って見ていたキルアが拗ねたような声で間に割って入ってきた。イルミとよく似た猫目で私を睨む。それすら今の私には寂しさが勝って可愛く見える。

「キルア、いってらっしゃい」
「……うん」

なんとなく悟ってくれたのか、キルアはそれ以上食い下がらずに頷いてくれた。

寂しくなるね、
だからイルミが外へ行こうって誘ってくれたのかな


ALICE+