「ナマエ、水見式してみようか」
それは、私が念の修行を初めてから待ちに待った言葉だった。まだキルアは家にいた頃。
キルアに内緒でこっそりイルミに習い始めたんだけど、中々水見式をやらせてくれないから、自分の系統が何なのか気になって仕方なかった。
「どきどきするー!特質系だったらどうしよ!」
「多分それはないね」
「やっぱり……?」
「ないね」
そんなきっぱり言わなくても……半分は冗談なのに!と思いつつ、それでもワクワクした気持ちはどんどん高まる一方で、早く知りたい。本当は特質系なんかじゃなくて、出来たら操作系が良いなぁって思ってる。そしたらイルミと一緒だし、イルミと同じなら参考にもなる。変化系ならシルバさんがいるし、強化系ならゼノじいがいるし、その辺りが良いなぁ。
「ほら、やってみて」
「うん…!」
高まる気持ちを少し落ち着けて、そっと手をかざす。
「ん……!」
「……ストップ、いいよ」
「え?もう?」
「ほら、見て」
「…ん?……爪楊枝?」
爪楊枝みたいな細い物がグラスの中に沈んでる。
「具現化系だね」
「具現化ぁぁぁ…?」
具現化系?うそー…ちょっとショック。
具現化と放出系はなんかよく分からないから嫌だったのに……。よりにもよってその具現化系だなんて!
「うわーん…!イルミと同じ操作系が良かったのに!」
具現化なんてどうすれば良いの?ナイフ的な?
「なんで操作系が良いわけ?」
「だってそしたらイルミと同じだから色々教えて貰えるでしょ?」
「そうじゃなくても教えてあげてるでしょ」
「そうだけど……」
具現化系かぁ、一体何を具現化すれば良いのか。
安易だけど、武器?武器かぁ……
「武器…武器…」
ナイフとかしか思い浮かばない…!あーもう!
「まぁ急がなくても良いけど、具現化出来るまでに時間がかかるのは頭に置いときなよ」
「…うん」
「じゃあ今日はこれで終わり」
そう言ってイルミは水見式のグラスと葉を私に片付けるように促して、先に自室へ戻っていった。
爪楊枝…かぁ、
グラスの中に出来た不純物をよく見ると、爪楊枝みたいだと思ってたけどなんだか針のように見えなくもない。
針?でも金属類の具現化は難しいとかなんとか念の知識叩きこまれた時に習ったような…?
そう思って触ってみると針みたいな見た目だけど、強度は木片くらいで曲げればすぐに折れた。……ま、私のレベルじゃこんなもんか。
でも、針も具現化できるなら、イルミみたいに鋲を武器みたいにして私は鋲を具現化すれば良いんじゃないのかな…!?
うん!それだ!
むちゃくちゃ安易だけど、でもイルミと一緒な鋲!うん、良い!それが良い!
鋲を具現化する!
……ねぇ、金属具現化難しいって言ったの覚えてる?
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