特訓の末、とうとう私の念は形になった。まだ不安定だから心配だけど、まぁ、イルミの許可は出たしいよいよ200階へいざゆかん!
イルミのGOサインが出るまでは、200階行っちゃ駄目だって言うから、ここ1週間は150〜190階をわざと負けたりしてうろうろしてたんだよね。自然な感じに負けるのってすごく難しかった……。
とは言え、今日からは200階!すぐに試合しなくても良いみたいだし、ちょっと様子みてみよう!
「いざ!200階ー!」
エレベーターのドアが開いて意気揚々と足を踏み入れると、途端に刺さる様な視線……いや、殺気に近いものが私に向けられた。なんなのようもう…!誰?
「久しぶりだね、ナマエ◆」
「ひぃぃぃ…!」
誰もいなかったはずなのに後ろから声をかけられた。ああ、この感覚懐かしい……、振り向かなくても誰か分かる。
「……こんにちは、ヒソカさん」
「うん◆こんにちは」
ゆっくり振り向くと予想してた通り、怖いくらいにっこりと笑ったヒソカさんが立っていた。
「おや、ナマエちょっと強くなったみたいだね」
「え…!でも私、絶対ヒソカさんとは戦いませんからね!」
「……◆」
「絶対!死んじゃいますもん!」
「……そういえばイルミはいないのかい?」
あ、話かえた!
本当に戦うつもりだったのかな?私なんか一捻りでやられて終わりだし、楽しくないと思うけどなぁ。あ、でもヒソカさんの試合は興味あるからみてみたいかも?
「ナマエ?」
「あ、イルミは午前中だけ仕事ででかけてます」
「なんだ昼から戻ってくるのか、残念◆」
残念◆じゃないよ、そもそもイルミ来た時にヒソカさんといると怒られちゃうよ!
「…て、ことで私手続きありますんでこれにて!」
「……おやおや◆」
ささっと手続きして新しい部屋行ってみよーうっと。ヒソカさんと一緒にいて害はあっても利はないし。
ヒソカさんは、ちょっと残念そうな顔をするからちょっと気が引けたけど、いつイルミが来るか分からない恐怖に堪えられるほど、私は図太くないからやっぱり早々に退散することにしよう。
「ナマエちゃん?」
「え…?」
「なに、お前も200階来たの?」
この声は!
「ゴンくん!キルアー!」
受付で案内された部屋に向かうために、長い廊下を歩いてると、後ろから声をかけられた。ヒソカさんに声をかけられた時とは違って、なんだか安心する。
「ナマエちゃんも念使えたんだね!」
「うん……まぁ、私はまだまだ初心者だけど。ゴンくんもキルアも念覚えたんだね」
「まぁな」
キルアは絶対変化系だろうなぁ……ゴンくんは強化系っぽいかな?まだ水見式はしてないのかな…
?
「てかナマエがこのクラスにいるなら、俺お前と試合してぇな」
「私?やだ!」
「なっ…!いいじゃんか!」
「じゃあイルミが良いって言ったら良いよ」
今のキルア相手なら勝てるかもしれないけど……降参させるのは難しいだろうし、何よりイルミってブラコンだから下手にキルアに怪我なんてさせようもんなら、怒られるじゃ絶対済まない。やっぱりイルミの許可ないと無理だわ、うん。
「ちぇっ」
「俺もナマエちゃんとやってみたい!」
「機会があったらね?」
私が弱いキラキラした眼差しでゴンくんが言うものだから、嫌とは言えず曖昧に笑う。ゴンくん相手に敵意なんて出せないし、試合なんて気持ちの問題で無理だと思うんだよね。出来るならば避けたい。
「とりあえず俺達の試合ちゃんと見ろよ!」
「そりゃもちろん、言われなくても見るつもりだよ」
「俺達も絶対ナマエちゃんの見に行くからね!」
「うん…!」
「じゃあ俺ら、修行あるからまたな」
「はいはい、じゃあね〜」
時間的にイルミもそろそろ戻って来そうだし、まだ話してたかったけど大人しく手を振って2人と別れた。とりあえず、2人の試合は見に行かなきゃ。そう思いながら、また部屋に向かって歩きだそうとしたら後ろから抱きしめられる。なんだか今日は後ろから声かけられたり、後ろからが多い日だなぁなんて思いながら、私を抱きしめる腕をそっと握った。
「おかえり」
「ただいま。……絶してたとはいえ油断しすぎ」
「えー…だって、しょうがないじゃん!でも抱きしめられた瞬間に匂いで分かったよ!」
「なにそれ臭いってこと?」
「違うよ!イルミの匂いは分かるし、好きだよ」
イルミの匂いは落ち着く匂い。大好きな匂い、なんて説明したら良いのか分からないけど。
「ふーん、俺はナマエの匂いの方が好きだけど」
「ちょっと、そういう照れること言わないでよ!」
「なんで」
「公衆の面前でしょ…!」
「へぇ、じゃあ二人きりなら良いわけね」
「きゃ…、ちょちょちょっと!」
有無を言わさずイルミは私を抱き上げて、言葉を無視して歩き出した。今は誰もいない廊下とは言え、恥ずかしい!
「暴れないでよ」
そう言ってイルミは抱き上げたまま私の額に唇を落とした。
「だから、恥ずかしいって!」
「いつもやってるのに、なんで外だとそんなに恥ずかしがるわけ?」
「当たり前でしょ!」
イルミの馬鹿!
羞恥プレイは勘弁してよ!
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