朝ゆっくり起きて、のんびりベッドから降りると、イルミがコーヒーを飲みながら言った。

「ゴン、試合で負けて全治4ヶ月らしいよ」

*

「ゴンくん…!」
「ナマエちゃん!」
「何やってんの!?こんなボコボコにされちゃって…!」

イルミから聞いて慌ててゴンくんの部屋まで走れば、キルアが出迎えてくれてゴンくんのベッドまで詰め寄る。

「うわ痛そう……全治4ヶ月?」
「どこ情報だよ2ヶ月だよ、大袈裟だなナマエは」
「大丈夫だよ、すぐ治るし」
「そっか……」
「……ごほん、」
「あぁ……、お話し中だったのに邪魔してごめんなさい。私はナマエです、キルアの姉みたいなものです」
「いえ、……私はウイング。彼らに念を教えています」

眼鏡に黒髪シャツにズボン。ちょっとよれたシャツがミルキを思い起こさせて、ミルキも痩せればこんな感じになるんじゃないのかなぁ、とか見当違いなことを思った。

「ということで、分かりましたねゴンくん?」
「はい」
「それでは、私はズシの修行があるので失礼します」

それだけ言うとウイングさんは、足早にゴンくんの部屋を出て行った。彼が2人の師範になるのか……2人って上達早そうだから目の当たりにするの楽しそう。

「ナマエ、どっから全治4ヶ月って話出てきたんだよ全く…」
「イルミがそう言ってたよ?だから慌てて飛んできたんじゃん。キルアは何ともなくて良かったね」

もしゴンくんじゃなくて、これがキルアだったらイルミも来てただろうな、間違いなく。イルミってばブラコンだからねぇ。普段はそういう風には振る舞わないけど、キルアのことはいつも気にしてるし。そう思いながら、ぐりぐりキルアの頭を撫でると止めろよ、って引きはがされてしまった。

「もう…!良いじゃんちょっとくらい!ゴンくんなら優しいから嫌がらないよ!」
「うざってぇ……ゴンは我慢してるだけだろ」
「酷い…」
「ナマエちゃん心配してくれてありがとう、でもすぐ治るから大丈夫だよ」
「うん、お大事にね。本当は見に行きたかったのに、ゴンくんたら知らない間に試合しちゃうから……」
「ごめんごめん、次やるときは言うね」
「うん、絶対ね?」

*

んー……、2人は暫く試合しないのか。私はどうしようかなぁ。

「試合?するならささっさとすれば?試しに」
「まぁ……そうだけど、あんまり早く何試合もしたら、キルア達の試合見る前に終わっちゃわない?」
「別に見に来たいなら来れば良いんじゃない?」
「あ、そっか……」

久しぶりに外に出かけて、お洒落なカフェで遅めのランチタイム。イルミも今日はオフで、こんなデートらしいことも久しぶりでちょっと浮かれてる。朝起きた時、ゴンくんの話を聞いてびっくりして、無事って分かったら急に安心したのか、お腹が減ったからイルミに連れてきてもらった。半熟オムライスとアイスティーを注文して、イルミに先程の話を持ち出すとそう言われた。
そっか……、しかも90日の猶予があるわけだから、外に出てお仕事したりも出来るし、そんなにここに居ることに囚われなくても良いのか。

「じゃあ、そろそろお仕事もしてみようかな」
「いいかもね、ナマエに出来そうな仕事回すように親父に言っとくよ」
「うん、……簡単なのにしてね」
「はいはい、死なない程度のね」
「怖い言い方しないでよ……」

いつも通り顔色1つ変えないで言うから、余計にちょっと怖い。

「ま、とりあえず試合してみてからだね」
「うん、頑張る」

帰ったら早速試合の申請してみようかな。フロアマスターになりたい訳でもないし、私がここに来たのは修行のためだし、力まないで一戦目はやってみよう。

「勝てたらナマエが欲しいもの何か買ってあげる」
「え、本当に?!」

欲しいものかぁ……、ファイトマネーでたくさんお金は貰えたけど、自分じゃなくてイルミから貰えるなら……

(そろそろ…時期かな)


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