さてさて、試験もいよいよ4次試験!
3次試験?そんなもの途中から面倒がったイルミに抱えられたまま数時間で終わったよ……。出番なしで危険はないけど、なんの面白みもなかったよ!

「じゃあ俺先行くよ。とりあえず落ちても良いけど、死んだりとか怪我はしないように」
「大丈夫!3次試験は何もしてないし、頑張るっ!」
「本当に大丈夫かな。まぁ、他の男と変に喋ったら刺すからね」
「分かったって!」
「……」

何か言いたげに、でもそれ以上は何も言わずにそれじゃあ、とイルミは茂みの中に消えていった。
あ。イルミのターゲット誰か聞くの忘れてた。私じゃないよね?じゃないよね?!
私だったら絶対落ちるしかないし……って、いやいやイルミだもん、私だったら普通に言いそうだし大丈夫だよね?
よし!自分のことに集中しよう。私のターゲットは198番!誰?って感じだけど、まぁ、覚えてないってことはキルアやゴンくん達じゃないってことで、逆に言えば倒しても大丈夫な人ってことだもんね!よし、頑張るぞー!

「ねぇ☆」
「ひぃ…!」

もう嫌だ!このパターン!一体何回目なんだろうか、そんな事を考えながらゆっくり肩に置かれた手の持ち主の方へ顔を向ける。もちろん顔なんか見なくても誰かなんて分かってるけど。

「……ヒソカさん」
「ねぇ、僕のターゲットナマエなんだ★」
「え……、ま、まさか」
「ナマエのプレート頂戴◆」
「ひ、」
「駄目かい?」
「ひぃぃぃ!助け…ん!んん!」
「ちょっと黙って◇」

叫ぼうとした瞬間に殺気と一緒に口を抑えられて、口を噤む。この距離で充てられると大分しんどくて、かなりの寒気がする。

「ごめんごめん。びっくりさせちゃって★嘘だよ◇」
「は?」
「 だ か ら 嘘 ◆ 」
「うそ…?」
「ナマエは予想を裏切らないね」
「あは、ははは」

なんなの、この人。イルミの知り合いじゃなかったら張った押したいくらい……だけど、ヒソカさんにしたら私なんか赤子同然にひねり殺されるからそれは万に一も叶わないから却下。

「……嘘なら良かったです、はは。じゃ!」

逃げるが勝ち!ヒソカさんと関わるとろくな事ないんだから!そう思って振り切る様に全力で森の奥へと走った。

「あ…★もうすぐイルミが来るのに……まぁいいか◇僕には関係ないしね」

*

はぁ。とは言えこれからどうしようかな。ターゲットって言っても皆プレート隠してる上に、この島のどこにいるかも分かんないし、お手上げ状態なんだけど。他の人はどうやってターゲット見つけるんだろう。1週間て長いような短いような……、うーん。

「……ねぇ、誰?隠れてても駄目だよ」

1人で唸ってたら視線を感じた。森の木々に助けられて隠れてるけど、気配は丸分かり。多分ちょっと殺気立ってるから私がターゲットの人かな?

「バレちゃーしょうがねぇな」
「さっさとプレート寄越しな」

2人相手か。めんどくさいなぁ……まぁ弱そうだから問題はなさそうだけど。

「あれ……でも貴方達って3人組じゃなかった?似たような顔の」
「そんな事どうでもいいんだよ」
「じゃあ単刀直入に聞くね。私は貴方達どっちかのターゲットなんだよね?」
「あぁ、そうだよ」
「ウモリ、さっさとやっちまいな」

こっちは1人。相手は2人で、いつもう1人増えるか分かんないし……、とりあえず巻いちゃおうかな。森はゾル家の庭で慣れてるし、走るのも隠れるのも得意だし、うん。そうしよう。

「待て!」
「逃げられると思ってんのか!」
「逃げれると思ってるから逃げるに決まってるでしょ!」

加速して、木と木の間をすり抜けながら走りだす。暫く走って彼らとの距離が開いたところで、見知った銀髪が視界に入る。

「キルア!」
「おう、ナマエじゃんか」
「キルアはターゲット見つかった?」
「まだ。っていうか俺今狙われてるみたいだし」
「あ、本当に?わたしもー!」

といっても、キルアの周りにそれらしい人物なんか見当たらない。

「見つけたぞ!」
「げっ」
「兄ちゃん!」
「あ、増えた」

私を追いかけてきた2人を兄ちゃんと呼ぶもう1人が姿を現す。とゆうことは、キルアがターゲットなのはこの弟くんって訳か。

「とりあえず。キルアやっちゃえ!」
「は?なんで俺?」

明らかにめんどくさいって顔のキルア。それを無視してキルアを盾にして、彼ら達の前に突きだす。

「嫌なんだよなぁ、どうせ倒したって1点だろうしさぁ」
「そんなこと言わないで!このむさ苦しい奴らをちょちょいのちょいってやってよ!」
「えー……自分でやればいいじゃん」

キルアと揉めてると、私を追いかけた方の1人が私達の前に立った。そしてドォンっという凄い音を立ててキルアが蹴り飛ばされた。

「ありゃ……痛そう」
「バッチリみぞおち」
「ありゃ地獄だぜ」
「よっ、ホイッ」

結構な飛距離があったけど、手も使わずにすぐ起き上がったキルアの手には1枚のプレートが握られてる。そっと覗き込むと、198番。え、ラッキー!私のターゲットじゃん!

「俺の欲しい番号と1番ちがいってことは、もして199番はそっちの2人のどっちかかな?」

キルアがそう言って、ものの数秒の間に勝負が着く。ほら、ぐだぐだ言わないでちゃちゃっとやっちゃえば一瞬だったじゃんね。

「さてこっちのいらないのは…」
「ありがと、キルア!」
「は?」
「私のターゲット198番だったんだよねー」
「ちょっ!卑怯だぞ!」
「キルアには言われたくなーい!」

キルアが投げようとしたプレートを奪って自分の鞄の中に突っ込んだ。

「助かったよキルア!サンキュ!」
「ちぇ、いっつもナマエはずりぃよなー。貸しだからな」
「うんうん!ありがとう!」


とりあえず合格条件クリアー!


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