私は一族に恐れられていた。
私が皆と違っておかしいから。皆と違って弱いのに、何の力もないのに皆は私のこの目を恐がった。だから私は一族の村から出た。……皆殺されちゃう少し前に。
今となっては私がクルタの血を引く者だなんて誰も知らないし、思わない。
朝テレビで見た天気予報は大ハズレ。
1日晴れだってお天気のお姉さんはにこにことした顔で言っていたのに……もうあの番組の天気予報は見ないし信じないんだから、そう心に決めてしばらく雨を凌ぐために視界に入った喫茶店のドアに手をかけた。
ちりん、とお店の風貌に合ったレトロな可愛らしい音が鳴って、店主のおじさんのいらっしゃいませの声がそれに続くように響いた。
店内はこじんまりとした雰囲気だけど、ゆったりした感じがすごく良い印象。1人だし初めてだから端の方のカウンターに座って、ロイヤルミルクティーとサンドイッチを頼んだ。
「君、初めて見る顔だね」
「…初めて来ましたけど、」
さっき聞いた店主のおじさんとは違う声色で誰かが私に声をかけてきたから、顔を上げる。
「俺ここの常連なんだ」
「は…はあ、」
なんとも間抜けな声が出た。にこにこと笑顔で声を掛けてきたこの男の人はびっくりするくらい格好良くて、どう反応して良いか分からなくなりそう。
「そんなに警戒しないで。天気も悪いし暇なんだ」
「……そうなんですか」
なに?これってからかわれているのかな?こんな綺麗な顔の人とお知り合いになったことなんてないから、妙にドキドキしてしまう。いや、ナンパされてる訳でもないんだから落ちつけ!
「良かったら話し相手になってよ。これも何かの縁だし、ね?」
彼は私の返事を待たずに、カウンター席2つ分の距離を詰めてきた。顔はすごい爽やかなのに結構強引。
「俺はシャルナーク、シャルって呼んで。君は?」
「ナマエ、」
「ナマエって言うんだ?良い名前だね」
そう言ってシャルナークと名乗る男は楽しそうに笑った。
それが私とシャルの出会い。
ただの偶然だった、
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