「何かあったら使え」
「なんですかこれ?」
クロロさんに監禁(と言っても待遇は軟禁)されてからどれくらい経ったのだろうか、カレンダーもないこの部屋では窓から見える景色のみで時間を把握するけど、もう何日経ったかまでは忘れた。1週間くらい経ってるのかな…。
夜も深まって帰ってきたクロロさんに渡された物をまじまじ見ると、それは可愛らしい猫のモチーフの……
「携帯だ。何かあったら連絡しろ」
「え、でも…」
携帯なら充電すればあるし…ここでは必要ないんじゃ…?
「お前の携帯では足がつく。それなら大丈夫だ。中に俺の番号が入ってる。何かあったら必ず俺にかけろ」
「…ありがとうございます」
私のためなのかもしれないと思ったから、とりあえず素直に受け取った。多分使うことなんて無いんだろうけれど。クロロさんは知らない(正しくは覚えてない)人からもよく狙われるから、もし私が狙われたりしたら連絡出来るように…、って事だと思う。そもそも自分でそんなヘマはしないって言ってたけど、意外と用心深いのかな。
貰った携帯はあまり見たことのないようなタイプのケータイで、ピンクのネコのしっぽや耳が可愛らしい。……そういえばシャルもこんなネコか分からないけど動物みたいな携帯使ってたような気がするけど、こういう業界では流行ってるのかな?
シャルとお揃いなのかな、って思うとなんだか嬉しくなってきて、使うことはないんだろうけど大切にしようと思った。
「なんだ、嬉しそうだな」
「えぇ…、でも使うことはないんでしょうけど」
「使えば良いじゃないか」
「だって使う必要ないでしょ、クロロさんがいる限りは」
「……そうだな」
そう言うとクロロさんもなんだか嬉しそうに、笑ってぽんぽんと私の頭を撫でた。
「クロロさんって基本的にあたしのこと子供扱いですよね」
「子供じゃないのか?」
「ちゃんと自立してるから大人です…」
「そうか」
またそう言って楽しそうに笑うクロロさんは絶対そうだと思ってないって顔をしていて、なんだか癪だけどそんなクロロさんは嫌いじゃないから黙っておこう。
「でもクロロさん」
「なんだ?」
「クロロさんはこの眼が欲しい、って何がしたいんですか?ここに来てから私この眼で何もしてないし色を出してもないです」
「……そうだな、簡潔に言うと」
「言うと?」
「コレクション」
「…………え?」
「ただ持ってるだけで良い、何をするでもなく眺めたり手元に置いておくだけで良いただのコレクションだ。気が向いたら触ったり使ったりする。コレクターと一緒なことだ。簡潔だろ?」
真顔でそう言うクロロさんに私は返す言葉もなくて、ポカンと口を開けるしかなかった。一体この人は何を考えているんだろう?
こうやって監禁されてるのにこの人に馴染み始めている自分も自分だけど、なんだか馬鹿らしくなってくる。
「それだけのために…?」
「いずれ、役に立ってもらうかもしれないがな。それはお前次第と言ったところか」
そうクロロさんは意味深にケラケラと笑ってあたしの頭をガシガシと少し乱暴に撫でた。
これで、貴方がいてくれたらもっと楽しいのに
ちなみに携帯はシャルお手製です。
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