この前団長に奪うという言葉に近い形で、あげた携帯から電話をかけてきたのはナマエだった。


団長にナマエを奪われてから、俺は必死にナマエの居場所を探していた。
まず考えたのは団長の家だったけれど、団長は至るところに家やマンションを借りたり持ったりしていて、それなのにホテル暮らしもたまにするという探偵泣かせの生活をしていた。
手当たり次第探すのも手だったけど、それを見越してか団長は次から次へと俺に仕事を課すもんだから、全然追い付かなかった。
最初は出ないにしてもかかっていたナマエへの電話は繋がらなくなり、メールも送ってはみるけどもちろん返って来ることはなかった。
団長に携帯をあげたのはそれからどれくらいだろうか、早く仕事終わらせては寝る間も惜しんで調べていたから日にち感覚がなくて分からないけど、やっと仕事が一段階終わった所にタイミング良く来たことは覚えてる。

「シャルナーク、携帯が壊れたから1つ欲しいんだが」
「……俺を過労死させる気?」
「ナマエを捜してるのか…?ご苦労なことだな。ナマエは元気にしてるから心配しなくていいぞ」

分かっていて厭味ったらしく笑うクロロに腹が立つけれど、マジギレ禁止だ……。
ここで暴れたって何の意味も成さない。それなら早く仕事を消化して居場所を掴んだ方が能率が良い。

「それなんか出来てるんじゃないのか?」

クロロが目線で見つめている先を辿ると俺の持ってるシリーズ違いで作った、ピンクのネコのモチーフの携帯を指していた。

「それは駄目だよ」

本当はナマエに渡そうと思って作った物なのに、何が悲しくてクロロにあげなきゃいけないんだ。そもそも似合わないって話だよ。

「どうせそれしかないんだろう、少々ファンシーだが目をつむろう」
「上から目線すぎ」
「次の仕事は後でメールする。」
「え、ちょっと?!」

有無を言わせず、とゆうか言う暇もなくクロロは携帯を持って去っていった。
でも、まぁ……ナマエには渡せないんだしいっか…。


そんなことがあってから、また少し経った深夜だった。団長からの仕事も昼には終わって、メールで連絡を入れといたけれど返事も次の仕事も珍しくよこさなくて、久しぶりに長く自分の調べ物に専念できた。
大体、誘拐しといて平気な顔して俺に会うくせにナマエの居場所は決して教えないとか本当性格悪いよね。とゆうかドS。俺Mじゃないんだけど。

ちょっと休憩しようかな、と思ってデスクから立ち上がると携帯が鳴った。

「団長かな、」

そう思ってディスプレイを見ると案の定クロロとゆう表示が出ていて、この前あげた携帯からだった。

「もしもし?」
「クロロさん!?…え?その声………あ、あの!それよりクロロさんは…?!」

……クロロじゃなくて、ナマエ?なんで……、

「なまえなの?」
「ッ!………そうです、けど……」
「なんで…なまえが団長の携帯を…」
「あの団長って…?」
「クロロのことだよ。この携帯俺が団長に盗られ…いやあげたんはずなんだけど」
「あの…あたし…ッ…、クロロさんに…ッ」

喜びも束の間、って感じだったと思う。ナマエが思い出したかのように慌て出して、クロロの名前を絞り出す。声色から酷く焦っているのが分かる。

「なまえ?どうしたの?落ち着いて」
「シャル…、!」

ナマエが今にも泣きそうな声で、俺の名前を呼ぶ。ただそれだけなのに、ただそれだけなのに、

今すぐにでも抱きしめたかった。

もっと、もっと俺の名前を呼んで
今すぐ行くからそこにいて
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