息をつく暇もなく抱えられたまま走った先は見たこともないような場所で、薄暗くて少し不気味な雰囲気の廃れたビル街。人の気配はないような気がしたのに、着いた1つのビルの中には何人も人がいてびっくりした。


「ナマエ立てる?」
「……なんとか、」

あれだけ目まぐるしく景色が変わって、その上普通は通らないような道…ではないような場所まで通るものだから、頭がくらくらするのは当たり前だと思う。新手のジェットコースターかと聞きたいくらいだよ。
まだ目が回っていてしっかりと定まらない視界に何人か初めて見る人がいるのが見えて、その人達は皆こっちを見ていることに気が付いて急に恥ずかしくなった。いつから見られてたんだろう、お恥ずかしいところを見られちゃってるよ。

「ナマエ大丈夫?ほら掴まって」
「ありがと、」

シャルがごく自然に差し出してくれた手に自分の手を預けて、導かれるままにここの住民らしき人達へ近付いていく。後ろからクロロも着いてくれば、何も言わずとも皆中心へ集まってきてさっきよりジロジロと見られて何故だか冷や汗が出てきた。

「彼女はナマエ。俺のだから手出したら許さないからね」
「べつに興味ないね。手なんかださないよ」
「最近団長とあんた、ピリピリしてたのこの子のせいだったって訳だね」
「そうね。団長はともかくシャルの原因は彼女のようね」

シャルの言葉にちらほらと納得する様な発言が聞こえて、それってきっと私がクロロさんの所にいた時の話なのかなと思うとなんだかすごく恥ずかしくなる。それにさっきまでの冷や汗は和らいで、周りの人達もにこやか…とゆうよりは何人かニヤニヤと笑っているような気もする。

「皆うるさいよ、ナマエが驚いてるだろ。一応ナマエは一般人なんだから勝手なことしないでよ」
「詳しいことは追って話そう。ここにいれば狙われることはあっても、こいつらがいれば安心だからな」

とゆうことは…、私ここに暫く生活するの……まさか。クロロさんのマンションと打って変わって人が住んでるような場所に見えないほどの廃れたビル……だよね?もしかして私の目が節穴なのかな。

「パク、簡単にホーム内を案内してやれ。部屋はシャルの隣の部屋が空いてただろう」
「分かったわ」

そう言って近付いてきたのは綺麗系の女の人…、なんだけど何よりその豊満な胸元に視線が行ってしまう。なんてゆう格好をしてるんだろうかこの人は。一般人の私からしたら、もうこんなの有り得ない。綺麗な人だけどやっぱり盗賊ってことは、ちょっと変わってるのかな…。

「私はパクノダ。よろしく」
「えと、ナマエです。こちらこそよろしくお願いします…!」

簡単に挨拶だけ済ませたパクノダさんは行くわよ、と歩き出したから足のコンパスが違う私は遅れないように小走りで横を歩く。それから生活に必要なお風呂やキッチン、トイレ等の場所を教えて貰ってから部屋を案内してもらった。
さっきの第一印象はともかくこのビルのお風呂や部屋自体は思ったより綺麗でなんとか生活はしていけそうで安心した。

「シャルや団長が振り回してごめんなさいね。悪い人じゃないから付き合ってあげて」
「そんな事…!むしろ私は助けて貰ってるみたいで……私もよく分からないんですけど…」
「そう。なら良かったわ。じゃあ今日はもう寝れば良いわ、おやすみ」
「おやすみなさい、」

そう言ってパクノダさんはそっと肩をポンポンと撫でてくれて、何故かすごく安心して眠たくなった。言われてみたら今はもう夜中だって事を、目まぐるし過ぎて忘れてた。
パクノダさんにも言われたし、とりあえず今日は眠ろう。きっとシャルがいるから大丈夫。

続きはまた明日、
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