朝、目が覚めるとシャルが横に寝ていた。
「え…?シャル、?」
「あ、起きた?おはよ」
「おはよう……ってなんで?あれ?」
「ナマエがあんまりぐっすり寝てるからつい、ね」
そう言って可愛くシャルは笑って、そのまま寝た状態で私のおでこに唇を落とした。
「シャ、ル!」
「可愛い」
カァァ、と頬どころか顔全体が一瞬にして紅くなるのが分かって、それと同時に半分寝ぼけていた頭が覚醒していく。
それをシャルは楽しそうに見て笑う。今まで有り得ないようなこの状況に、私の頭はパニックになってしまいそう。
「着替えたら降りておいで。着替えはそこに置いておいたから」
「あ、うん…ありがと」
シャルが部屋を出て、言われた場所を見ると丁寧に折り畳んだ洋服が一式置いてあって。
シンプルだけど可愛らしいワンピースは私好みで、それに合うように靴や腕時計までしっかり置いてあった。シャルの趣味なのかな……全て新品みたいだし、買ってきたんだろうと思うけど昨日は夜中だったしいつ買ってきたのかな?
不思議に思いつつもワンピースに袖を通して、サイズもぴったりのパンプスを履いて、昨日案内してもらったのを思い出しながら広場に降りた。
「ナマエ、おいで」
「うん」
昨日と同じこの広場には相変わらず瓦礫ばかりで、まだ少しは綺麗に整頓されていた部屋とは違って歩きにくい。それを分かってくれたのか、私を視界に入れたシャルは手を貸してくれた。
「ナマエ、悪いがお前の記憶見させて貰った」
1番下まで瓦礫の山を降りると、数段上に座っているクロロさんがそう言った。
「それって……どういう意味ですか?」
"見る"ってどういうことなんだろうか、聞いただとか調べただとか、そういうのなら意味は分かる。でも、記憶を見るだなんて表現おかしいし、実際有り得ないし変だと思う。
「パクノダがそういう能力を持っているんだ」
「パクノダさんが…?」
「ナマエは念は分かるか?」
「いえ、」
「そうか…、なら分かりやすく言うならそういう超能力だと思えば良いだろう」
そういう超能力…、記憶を見れる超能力……。
そうなんだ…、じゃあ私のこの眼のことも昔のことも知られてしまっちゃったのだろうか。
「それはどこまで…?」
「パクノダはもちろん俺とシャルもだ。全部」
「ナマエごめんね」
シャルまで…?どうやって、というのを聞くのは野暮なんだろうか。超能力というのだからそこは深く知らなくても良いのかもしれない。
私が動揺してるのを分かってか、シャルはごめんねとそっと後ろから肩を抱いてくれた。シャルも、知ってしまったんだね。
「シャルは、怖くない?」
「何が…?」
「私、こんな眼を持ってるんだよ?」
少し、声が震えた。本当ならシャルの顔見て聞くものなのに、怖くて振り向けずに問いながら俯いた。きっとそんなことないかもしれないって、期待は抱くけど、普通だったらこんな力怖がると思う……。
「そんなこと?大丈夫、怖くないよ」
「シャル…」
「それに、俺達なんか人殺しなんて当たり前だよ?」
「え……?」
「黙っててごめんね。ナマエが思ってるより俺達悪党なんだ」
「ナマエ」
「はい」
それまで黙って聞いていたクロロさんが凛とした声で私の名前呼んだ。見上げたクロロさんはいつもより強い眼差しで私を見ていて、心臓が脈打つ。
「俺達がお前のことを知った様に俺達の事も話すべきだな」
「団長」
「シャルナーク、これは避けて通れない道だ」
「クロロさん、なら教えてください」
「そうだな、まず…俺達は世間から何て呼ばれているか知ってるか?」
「いいえ…」
「……幻影旅団だ」
「え……?」
幻影旅団
その名前を聞いたとき、頭が真っ白になった。
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