考えたこともなかった、クルタの敵(かたき)に出会ったらどうするかだなんて。
信じられない事実をクロロさんは顔色一つ変えずに発した。あたかも普通に。頭が真っ白になって何も言えずにシャルの方を振り返ると、シャルは少し眉を下げてごめんねと小さく呟いた。
そっか、本当なんだね。そうだよね。このタイミングでこんな嘘、冗談でも言わないよね。
「じゃあ…、クルタ族も」
「あぁ」
大好きだった、両親。嫌われていたと、疎まれていると思って生きてきたのに村長は私を逃がしてくれた……。でも、
「大丈夫…、大丈夫です。クルタ族を襲ったのが例えクロロさん達だったとしても」
きっと。
大好きだった両親を殺したのは私だった、それに…、クルタの皆に……情はもうない。だって皆は私を怖がって一人にした。私はクルタにはいらない子だったもの。
復讐なんて考えたこともないし、敵(かたき)が憎いなんて思ったこともなかった。それは、要するに…、
「クロロさんも、シャルも。わたしを怖がったりしない……だから」
「分かってる」
「え…?」
「きっと、受け入れてくれると分かって言った。言っただろう?お前の記憶を見たと」
そう言ってクロロさんはやっと今日初めて笑った。髪を上げて笑うクロロさんは初めて見るかもしれない。この格好のクロロさんはちょっと怖いイメージだったけど、笑った顔見たらなんだか気が抜けた。
「あんな記憶しかない奴らに俺が負けるだなんて思ってなかったしな」
「良かった、ナマエが俺達を許せないってもし言ったらナマエを閉じ込めちゃったかもね」
「え?!」
後ろから楽しそう、いや嬉しそうな声色でシャルが放った危険な発言にまたシャルの方を振り向くと、至極嬉しそうに目を細めて笑うシャルに何か言いたいのに声が出なくて。
「泣くなよ」
そう言われて、ああ、泣いてるのかと気付いて、シャルがそっと拭ってくれるままに目を閉じる。
クルタじゃなく、初めからもしこの人達と一緒にいたならば私の世界は変わっていたのだろうか。
ううん、でも。私にはこの人たちみたいに特別に強い訳ではないし、最初から一緒にいるだなんてきっと有り得なかった。
でも、もし。もしだよ、
いつかこうして彼等に出会うがためのものだったなら、運命的じゃないかな。ちょっとそれは夢を見すぎかもしれないけれど。
でも、ずっと一人で生きてきたから。友達は出来たしたくさんの優しい人にも出会った。だけど本当の私を知る人は誰一人いなかったし、打ち明けれる人もいなかった。
「わたしは…、」
本当はずっと欲しかった。ずっと。
「一人が怖かった、だから、」
一緒にいてくれる誰かが欲しかった。
本当のあたしを知っても一緒にいてくれる誰か。
「誰かに一緒にいてほしかった…」
「うん、もう大丈夫だよ。俺がいるから。離さないから」
「……っ」
本当はずっとずっと強がってた
ALICE+