「…ジャスト3分、だね」
「3分かぁ、まだまだだね。……疲れた、倒れそう」


耐えきれなくなって、その場に倒れ込む。疲れたー!息も上がってるし、本当体力使うよ、これ。
なのに、これだけ頑張ってもまだ眼を発動させるのに3分もかかるだなんて…即戦力には程遠い。

「でも段々早くなってるし、コントロールも上手くなってるから、この調子でいけば大丈夫だよ」
「うん……」
「それに、その眼は特殊能力に過ぎないから、念を使う上ではそれに絡めて自分の念も使えるようにならないとね」
「この眼に絡めて?」
「うん。一から念を考えるより、それに念も加えれば良いんじゃないかと俺は思ってるんだけど、どう?」
「それで良いと思う!それなら出来る気がする!」

私の眼が力になる。今まで疎むことしか出来なかったこの眼が私の能力になる。……上手にこの眼と付き合っていけるのかな、私。

「うん、良い返事だね」
「きゃ、」

床に座り込んだままの私の腕を急に引っ張るもんだから、勢い余ってそのままシャルの胸に突っ込んでしまう。……シャル、力強いんだから加減してくれないと痛いよ、鼻打っちゃったよ。

「ごめんごめん、わざとだから」
「わざと?なんで…」
「こうするため」

言葉と同時にシャルの腕が私の背中まで回った。ぎゅう、と力を込められて、慌ててシャルの背中を叩くと少しだけ力を弱めてくれた。それでようやく、私もゆっくりと腕を回した。
シャルの匂いがする。心地良い、好きな匂い。
なんでシャルの匂いって良い匂いなのな?って、この前聞いたら笑われちゃったけど、本当にそう思うんだよ。

「さて、今日はここまでにしてちょっとでかけようか」
「え、どこ行くの?」
「……それはお楽しみ」

何か企んでいるのか、シャルは楽しそうに笑ってウインクした。身体だって大きいし、いい大人の男なのにそれが爽やかで可愛く感じてしまうのは、シャルの特権だと思う。
女の私でもたまに羨ましくなっちゃうくらい。

「ナマエじゃないか!久しぶりだな」
「マスター!お久しぶりです!私、いつもの食べたいです」
「はいよ、ちょっと待っときな。お前はどうする?」
「ナマエと一緒でいいかな、でもドリンクはコーヒーで」
「OK すぐ作るよ」

シャルに連れてこられたのは、いつものあの場所。何年も経った訳じゃないのに、週の半分は通っていたからか、すごく久しぶりに感じて懐かしい。マスター、元気そうで良かった。そう言うとそれは俺の台詞だよ、と笑われてしまった。

「……美味しい〜、懐かしい〜」
「それにしても…見ない内にちょっとばかし強くなったみたいだな、ナマエ」
「え?マスター分かるんですか?!」
「マスターは能力者だからね」
「え?!そうなの?」
「まぁ、自慢するほどじゃあないけどな…。で、ナマエはハンター試験でも受けるつもりなのか?」
「ハンター試験?なんで?あんな大変なの私には無理だよ〜」
「いや、今のナマエなら大丈夫だと思うし、あったら便利だよ」

私って、あのハンター試験受けても大丈夫なくらいには…成長してるの?
2人が何でもないみたいに話すからびっくりしてしまった。だってあのハンター試験だよ?
どんな内容なのかは知らないけど、とりあえずすっごく難関で合格するのは難しいってことしか知らないし、一回で受かる人もほとんどいないって聞いたことある。
そんなハンター試験だよ?……信じられない。

「でも、しばらくは必要ないから受けなくてもいいよ」
「あ、そっか。残念……」
「さてはシャルナーク…試験の間、ナマエがいなくなるのが寂しいんだな?」
「は?そんなんじゃないよ!今はまだそんな時間を費やしてまで受ける必要はないって思ってるだけだよ!」
「焦る辺りが図星だな。いやー、若いって良いなぁ〜」
「でも試験受けるくらいで?」
「……ナマエ、試験ってのは年によって違うけど、大体一ヶ月くらいはかかるんだ」
「だからシャルナークが渋ってるんだよ」
「へぇ〜そうなんだ…」

ハンター試験ってそんなにかかるんだ、やっぱり簡単な事じゃないんだね。いつか私も合格出来るのかなぁ。

一つずつ、増えてくね
目標が、やりたいことが増えてくのはすごく嬉しいよ。


「…ねぇ、俺が寂しいから行かなくていいって言ってるってことには無反応なわけ?」
「お、認めたな!」
「マスターうるさい」
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