せっかくの日曜なのに今日は雨。
晴れた日のぽかぽか陽気が好きなのになぁ、なんて窓から空を眺めてから傘を持って家を出た。


「シャル、もう来てたんだ?」

いつものランチの時間にいつもの店に行く。
それが習慣付いているのか、計った訳ではないけどいつもとほぼ同じくらいの時間に着いた。シャルは大体もう少ししてからいつも来るのに今日は少し早い。珍しくカウンターじゃなく、窓側のテーブルに座っていたシャルに声をかけると、手招きされて促された通りに向かい側に座った。

「マスター、私いつものと今日はオムライスで!」

着てきた上着を脱ぎながら注文をすると、はいはいとマスターがランチを作り始めてくれた。

「今日は早いんだね」
「そう?暇だったからね」
「そっか」

なら私も、もう少し早く来ても良かったかな。

「ねぇ、ナマエ」
「うん?」
「俺がさ、ハンターライセンス持ってるって言ったら信じる?」
「シャルがハンター?」
「そうだよ」

シャルがハンター……ハンター試験ってすごく難しいって聞いたことがある。内容がどんなものか知らないけれど、なんだかシャルなら受かってても不思議じゃない気がする。だけど、私の知ってるハンターのイメージとシャルとはかけ離れていて、しっくりとはこない。

「ハンター試験て何やるの?武道とかあった?」
「んー…俺の時は1次から4次まであったけど、そういうのもあったと思うよ」
「へぇ、シャルって実は強いんだ……」

確かに言われてみればシャルは顔に似合わず筋肉質で引き締まってる。普段顔ばかり見ているからなのか、今まで腕の出ている服装じゃなかったからなのか、今日みたいな腕の出ている服装で改めて見ると…シャルはほそマッチョというよりマッチョに近い気もする。基準はよくわからないけど。

「ほら、これがハンターライセンス。これ担保にしたら1億くらいは借りれるよ」
「1億!?すごいね……本当にハンターなんだ」

見せてくれたハンターライセンスは特にキラキラしてるとか、顔写真が入っているとかではなかったけど、私にそんな嘘をついても何にもないし本当だと思う。

「はいよ、オムライス」
「ありがとう、マスター」

シャルにライセンスを返したところで、マスターがオムライスを持ってきてくれた。

「ナマエ、それ食べたらちょっと俺と出掛けない?」
「これから?良いよ」
「たまにはここ以外でデートしたいんだよね」

そう言ってシャルは一瞬だけ真剣な顔をしてニッコリといつものように笑った。

*

「デートって散歩?」

雨雲は晴れないけれど止んだ天気の中、宛てもなくシャルと歩く。

「うん、そんなとこ。ナマエと2人きりになりたかったんだよね」
「え?」

今日のシャルはなんだかおかしい気がする。いきなりハンターライセンス見せてくれたり、2人きりになりたいなんて。

「……ナマエ」
「なに?」

急に立ち止まったシャルの顔を覗き込むような形で見上げると、シャルはそっと私の頬に触れた。

「え…?」
「ナマエ、」
「シャ、シャル?!」

そして空いた方の手も私の頬に添えられて、両手で顔を挟まれてしまう。シャルの顔もすごく近くて、恥ずかしさで顔が紅く染まっていくのが熱量で分かる。

「シャル、どど、どうして」
「ナマエ……、俺ね、盗賊なんだ」
「え…何言って、」
「だから欲しいものは奪ってでも手に入れる主義なんだ」

そう言ってシャルはほんの少し眉を下げて、私のの唇にキスをした。

奪われてしまわないように
奪われるくらいなら……、

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