03
私このまま死んじゃうってゆうか殺されちゃうんじゃないかと思う。そういう作戦なんでしょ……?
巨人さん改めウボォーギンは見た目通り、筋肉モッリモリの筋肉バカのようで、自分基準で私を筋肉モリモリにさせる気なのかと思う。あれから毎日毎日尋常じゃない量のトレーニングさせられてるし、普通に考えて鍛えるって言ったって限度があるでしょ。無理無理もう無理。死因筋肉痛で死にそう。
「ウボォー……も、ね、無理」
それだけ喋るのでも精一杯で息が苦しい。耐え切れなくなって床に寝転がって大きく空気を吸う。こんな汚い床に自分から横たわるだなんて……少し前の私なら有り得ないと思うけど、今は背に腹は代えられない。でもそれにしてもここ汚すぎじゃない?瓦礫だらけだし虫はもちろん鼠とかさ、昨日コウモリも見たよ?普通に考えて人が住む場所じゃないと思うのに、平然とみんな生活してるし気にしたら負けとかそういうのなの?それともそのうち慣れるものなのかな……。どうせなら後者のがましかな。ずっと我慢してるよりかは慣れる方が。
「おい!ナマエ!これ位でへばるだなんてだらしないぜ!ほら立てよ!」
「むむ無理だって!筋肉痛でもう無理無理……いたたたた、痛いー!」
こっちは汗でびっちょびちょなのに、汗ばんですらいないウボォーギンは本当に常人ではないんだなぁと呑気に額を眺めていたら腕を引っ張られて無理矢理立たせられる。けど、身体はもうこちらの意思とは関係なく断固動くはない様で、まぁ要するに無理!
「頑張ってるようだな」
「く……クロロ助けてよ」
「プリン買ってきたぞ、食べるか?」
「食べる。……ということでウボォー、今日のところは終わりで……」
「ああ?しょーがねーやつだな」
ふらふらと力の入らない脚にどうにかムチを打ってクロロの元へ近づくと、市販じゃないちゃんとしたケーキ屋さんの白い箱の中から1つプリンを取り出して手渡してくれた。プリンを目の前にすると急にお腹が空いてきて、急いで空いてるスペースに腰掛けていつもより大きくスプーンで掬い、口へ放り込む。そういえば朝から何にも食べてなかったんだった。どおりでこんな美味しいプリン食べたことないって思うくらい美味しく感じる訳だ。実際にはお腹空いてなくても美味しいと感じる代物なんだろうけど。
「いきかえる〜〜」
でもなんだか一周回ってこのまま昇天しちゃいそうだな。だってなんだかふわふわしてきたし、目も急に霞んできたし。
……って、いつの間にか疲れ果ててた私は胃を満たし、そのまま意識を飛ばしてしまったらしい。後からクロロに怒られた。