嫌がりながらも、くれたもの

恋した3秒後
〜ミルキの場合〜


ずっと、私はミルキに嫌われてると思ってた。
だって私に冷たいし、現実の女に興味ないって言ってたから、私の事嫌いなんだなぁ……って。

『…ミルキ…?』
「なんだよ、俺忙しいんだ」

やっぱり冷たいよなぁ〜…付き合い長いんだから、もうちょっと普通に接してくれたって良いじゃんか!
そんなんだから彼女も出来ないんだよ…ってゆーか、3次元は興味ないのか。

『…?ミルキどっか行くの?』
「あぁ、ヨークシンまでちょっとな」
『えええぇ!!ミルキが出掛けるの?!』
「……なんだよ、悪いかよ」
『あ、いや……そういう訳では』

キッ、っと荷造りする手を止めてミルキが私を睨んだ。……また怒らしたかな?
昔から、私はミルキを怒らすのが得意みたいだ。だから嫌われてるんだろうけど…。

『……私はミルキの事嫌いじゃないのになぁ』

ちょっと淋しいよね…、一方通行で。

「は?」
『あ、いや何でもないよ!』

ミルキが今度はしかめっ面でこっちを向いた。

『あー!』
「…今度はなんだよ」
『そのフィギュア……』

私が指差した先にはミルキのコレクションのフィギュア…が1つ。

『いいな、いいな!それの漫画読んだんだけど、すっごく面白いよね!そのキャラの子が1番好きなんだ!』
「え…そ、そうなのか?」
『うん!えー…良いなぁ。あたしも欲しいなぁ』
「これは限定モデルの非売品だからもう手に入らないんだ」
『…へー、そうなんだ…残念……』
「………」
『そういえば、キルアもいないし、イルミも仕事ばっかでカルトもキキョウさんが連れてて、遊びに来てもつまんないのにミルキまでいなくなったら本当に暇だな〜』

誰かいなくてもミルキはいつもいるから、なんだかんだ相手して貰えたのになぁ。

「なまえ」
『なに?』
「……やるよ」

はい、と腕を伸ばしたミルキの手には今まで話していたフィギュア。

『え…?』
「欲しいんだろ」
『でも、もう手に入らないって…』
「やるって言ってるだろ!またネットで買うから良いんだよ」
『……ありがとう』

ミルキから受け取ったフィギュアを両手で抱きしめて、お礼を言う。

「……別に、お前の事嫌いじゃないからな」
『え?』
「っ…それ持って早く戻れよ!邪魔だろ!」
『……ミルキ…!』

後ろ姿からでも見える紅く染まった耳。それは……?


恋した3秒後
悪態ばっかりな貴方の背中に抱きついた!

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