恋した3秒後
〜白石の場合〜
彼はうちの学校始まって以来の完璧美男子。
うちの学校の女の子達に芸能人やアイドルに興味なんてない子がたくさんいるのは、彼の影響。それほど、彼に非の打ち所は無いのだ。
『本当、完璧過ぎるよね蔵ってば』
「なんやねん、いきなり」
『芸能人に引けをとらない顔、才野溢れるテニス、部長として部員をまとめる統率力、成績優秀、性格は物腰やわらかめで先生達にも信頼があり、異名は聖書。極めつけは彼女無し、…ね?』
「ね?、やないわ。だからなんやねん」
『だから蔵はモテて、非の打ち所もない!って話』
ちょっと仲良いってだけの私でも、親衛隊から時々呼び出しくらうんだよー、って笑う。
夕暮れの放課後。
日直が一緒だった私達だけど、今日はテニス部が休みだって事でのろのろ仕事をして、今は日誌書き。まぁ、これが終われば帰れるのだけど話し出すと意外と止まらな
くなって今に至る。
「……そんな呼び出しとかあるん?」
『うん、あるある。今時?って感じなんだけど、まぁ蔵は一種のアイドルだしね』
「なんやそれ、嬉しないわ」
『しょうがないじゃん皆、蔵が好きなんだから』
「好きな奴に好きになって貰えんだら意味ないやん」
はぁ、とため息をつく蔵。
夕日のオレンジ色の力が相乗効果を出し、すごく格好良く見える。ファンの子が見たら、失神ものなんだろうなぁ……って思ったら、すごく希少価値があるから堪能しとかなきゃ、なんて見当違いな事を考えてしまった。
『んー…蔵なら好きになってもらえるでしょ?てゆーか告ったら、2つ返事でOKなんじゃないかな?』
「そんなわけないやん…アホ」
『アホって…酷いなぁ…』
東京にだって蔵ほど格好良い人ほとんどいなかったよ?、って少し俯いている蔵を覗き込む。前の席に座っている蔵は逆光で俯くと表情が見えないから。
「せやけど、なまえは俺の事好きか?」
『うん、好きだよー』
「ちゃうて、恋愛感情でや」
『あー…恋愛感情か。うー…ん、それは違うかも…。格好良いし、色々含めて女の子は皆イチコロ!って思うけど』
どこか、客観的に見てるし、多分それは最初から釣り合わないことを前提に見てるから、そんな気持ち湧く前にシャットダウン!って感じなのかもしれないけど。
「ほら見ぃや。皆って言ったってなまえは俺の事好きやないんなら皆にならんやん」
『いやでも私が特別なのかもよ?』
『…蔵?』
「せやかて、俺が好きなんはなまえなんやからなまえが俺の事好きやないんなら意味ないやん。アホ!」
静かに沈黙が流れた。だけど、蔵とずっと目が合ったまま。それから一拍遅れてカァアァァ、って顔から効果音が鳴った。
恋した3秒後、小さくやっぱりあたしも好きかも、と呟いた
やっぱり蔵にかかれば皆イチコロ、