危なっかしい君から目を離せへん。
初めてなまえを見掛けたのは、つい最近。
せやけど擦れ違うとか同じ空間におるとかそういうんは、ぎょうさんあったんやと思う。
要するに、意識しだしたんが最近てことや。
『蔵ノ介くん、おはよう』
にっこり笑うなまえは今日も愛らしい。
なんやろ…、多分ペットみたいな動物的な可愛らしさみたいなんがあるやと思う。
「おはようさん、なまえ」
お互い連れもおらんくて、自然に2人で並んで歩く。朝練なくてラッキーやったわ。
『今日は遅いんだね、朝練なかったんだ?』
「そうなんや。今日はゆっくり寝れたし快適やったで」
『またまたー、誰よりもテニスが好きで、誰よりも練習してるくせに』
……あぁ、そうやった。
なまえにはもうバレとるんや。俺が1人で自主練しとる事も、ほんまにテニスが好きな事も。
『蔵ノ介くんって秘密主義だよね、私も偶然知っただけだ、し!?きゃっ…!』
「……そこ何もなかったで?」
なまえは石ころ1つも落ちとらんはずの道で、こけた。
『またやっちゃった…いたた…』
「ほんま、どこでもこけるんやな」
初めて、会った時もこけとったし。
1人で自主練しとる所を見付けてもうて、そっと去ろうとしたらしいんやけど、こけたなまえが俺の前に派手にスライディングしてきたんやったなぁ……って思いだす。
それからなまえとはよう話すようになった。
「ほら」
手を差し延べてやると、一瞬だけびっくりしたように俺のその手を見て。それから俺の顔を見てありがとう、って言いながら手を取った。
『きゃっ?!』
バフン、となまえが俺の胸にダイブ。
『ご、ごめん!』
「…ふ、ほんまなまえはオモロいなぁ。立ち上がろうとしてまたこけるやなんて救いようないで?」
『ごごめん!』
「ようケガせんとおれるなぁ」
『あはは…まぁ皆助けてくれるからかな…?この前は階段から落ちそうになったんだよねー』
「……ほんまかいな、そこまでドジやなんて知らんかったわ」
『ひどーい!でも田中くんがね、腕引っ張ってくれたから大丈夫だったんだよ』
「……ふぅん」
『?』
ほんま、危なっかしい奴。せやけど、それに付け込んでなまえを狙っとる奴も他におるみたいやし、俺も頑張らなアカンかもしれへんなぁ。こんな風に苛つくんは嫉妬なんやろうな…かなり重症やで。
「俺が近くにおる時しかこけたらアカンで」
『え?なんで?』
「今みたいに助けてやれんやん?」
『…う、ん?ありがと?』
君に手を差し延べるのは俺でありたい
君を守るんは俺だけの役目やったらええのにな、