「裕次郎、ちゅうってどんな味なんかやー」
「黒糖みたいな味だばーや」

一瞬、私は自分の耳を疑った。
あの知念くんから「ちゅう」だなんて単語が発せられるなんて!
目下彼に片思い中の私は、びっくりしたと同時にちょっぴり想像してしまい頬がほてった。
だけど、うちのクラスに遊びに来た甲斐くんにわざわざそんな事を言うって事は知念くんには好きな子がいると言う事なんだろうか。
だったらショック…。

「ちょっ!何するんさー!」
「……ちょっと味見するだけさー」
「は…?無理!無理!ちょ…!なまえ助けて!」
『え…!?』

運良く最近知念くんの席の隣になった私は、ぼーっと2人のやり取りを見ていた。だからか、目の合った甲斐くんに助けを求められてしまった。
でも、確かにキスを迫る知念くんて…知念くんじゃないみたいで怖いけど。

『あ、あの知念くん…?』
「ぬー?」
『甲斐くん困ってるよ?』
「あぁ……」

そう言うと知念くんはちらっと甲斐くんを見てバツが悪そうに掴んでいた腕を離した。

「……た、助かった」
『知念くんってば大丈夫?知念くんじゃないみたいだよ?』
「やくとぅー…」
『うん?』
「…黒糖味のちゅうってどんなのかと思ったんやっしー」
『…え?』

ちょっぴり眉を下げてそう言った知念くんはめちゃめちゃ可愛い。身長の小さい私は座高でも完璧に見下ろされる形になっているのに、圧迫感すら感じなくて寧ろ胸がキュンとした。

「ぬーやそれ!じゃあ俺じゃなくてなまえにすれば良いだろー!」
「な…!なまえに味見なんて出来る訳ないさー!」
「やーくとぅ!かなさんなまえに好きも言えないんやっしー!」(だーから!好きななまえに好きも言えないんだよ!)
「裕次郎…!」
「あ。……やっちまった」

あー…と頭を抱える知念くんに対して甲斐くんは、ちらー…とゆっくり私の方を見てくる。

「わ、わんそろそろ教室に戻るな…!じゃ!」
『え…ちょ!甲斐くん!?』

微妙に漂う沈黙の空気に耐え切れなくなった甲斐くんが、止める隙もなくそそくさと逃げて行ってしまった。
残った知念くんは机に俯せているけれど、腕と髪の隙間から見える耳が紅い。

黒糖キス、
こ、これは…自惚れても良いんでしょうか、

(バレキスネタ!)
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