「丸井く〜ん!これいっぱい作ったんだ、甘いの好きでしょ?あげる!」
「まじで?!サンキュー!」
朝練が終わってSHが始まるまでの教室での時間。
ちょうど小腹が減ったなぁ〜と考えてた所にクラスの女子がピンクの可愛い紙袋に入った手作りらしいお菓子をくれた。
「お!カップケーキじゃん!うまそー!」
中身を見ると可愛らしいカップケーキが2つ。ふんわりと甘い香りが鼻をかすめた。
「相変わらず丸井は甘いものばっかりやのう…」
「だって美味いじゃん!それによく貰うし」
担任が来る前に腹ごしらえ、と思ってさっそく1つ手に取り頬張った。
『ブン太〜!何か甘いものちょうだいっ!』
昼休み。
弁当が食べ終わって、おやつに手を伸ばそうかなとしてた所に見計らったかのように、にこにこしながら現れたなまえ。
唯一、甘いものをくれるんじゃなく俺に貰いにくる幼なじみである。
「また俺のを奪いにきたのかよー」
『良いじゃんか、そんなにいっぱい食べたら太るよ』
「お前こそ太るだろぃ」
『あ!カップケーキ!食べたい!』
「え〜、それせっかく貰った奴なんだけど」
『……もーらい!』
「あ!それは大事な…」
隙をついて手に持っていた最後の1つのカップケーキを奪うもんだから
"俺のカップケーキ"って言おうとしたら、いきなりなまえの顔が曇ったからびっくりしてしまった。
『……好きな子から貰ったの?』
「は?」
『……返す』
「え?お前なに言ってんの?」
いつも強引なくせに、カップケーキを簡単に返すもんだから俺も調子が狂う。
「そんな欲しかったんならしょうがねぇからやるよ、ほら!な?」
みるみる泣きそうな顔になるなまえに思わず今返して貰ったばかりのカップケーキを手に持たせてやって頭を宥める様に撫でた。
『本当に良いの?』
「良いよ、俺があげるっつってんだよ!」
『うん、』
そう頷いて一口それをほお張って、突拍子もないことを言った。
『好きな子出来たんなら、……協力するからね』
「は?」
『こんな美味しいお菓子作る子だったらしょうがないよね、ブン太が好きになっても……』
普段より格段に大人しくそう呟くように言うなまえがちょっとだけ面白くて、それでいて可愛くて、照れ隠しに1発頭を叩いてやった。
『いった…!』
「バーカ!何勝手に勘違いしてんだよ、そんなんじゃねーよ」
『じゃあ!』
「俺の好きな奴は、俺にはお菓子くれないどころか、奪うような図々しい鈍感な奴だよ」
『……』
「なまえちゃん?お分かりですか?」
『……馬鹿、紛らわしすぎ…』
俯いた顔を覗くと、そりゃあもう美味しそうに真っ赤に染まった頬で強がるもんだから、可愛くて、一瞬だけ触れるだけのキスをしてやった。
「カップケーキ味…」
『…っ馬鹿!』
好きなタイプ≠好きな奴
俺の好きなタイプは食べものくれる可愛い子のはずだったんだけどな