「なまえ、」
『あ、光!どうしたの?』
「昼飯食べよう思て」
『本当に?やったー!おいでおいで!』

昼休み、お弁当を食べようと思って包みを開けようとした所で光が購買のパンを持って来た。
時々一緒に食べたりするけど、普段は一緒に食べないのに来るだなんて珍しい。

「なんやなんや、財前が来るなんて珍しいやん」
「せやな、何かあるんとちゃうん?」
「……なんもないっすわ」

クラスが一緒で席も3人近い上に、私が光と付き合ってるからなんだかんだで白石と謙也とは仲が良くて。
親友はいつも彼氏とお弁当を食べるから、光と約束してない時は基本的に白石と謙也と3人でなんとなく一緒に食べるのが日課みたいなもので。
そこに珍しく約束してない光が来て、おもむろに近くにあった空いてる椅子を私の横に置いて座った。

『でも確かに今日約束してないのに珍しいね?』
「なんとなく」
『そう?ま、なんでもいいけど』

私としては、光とご飯食べれるのは嬉しいし、白石と謙也だから光が入ってきても気兼ねしないで良いし。

「……それ美味そうやな」
『唐揚げ?食べる?』
「食べる」

パンをかじっていた光が物欲しげに見るから、1つ唐揚げを分けてあげた。パンだからお箸もない光の口にフォークで刺した唐揚げを入れてあげると、2,3口噛んでから少し目を細めて美味いって笑うから思わずきゅん、と胸が弾んだ。

「…俺ら邪魔な感じやな…あーんて…」
「なんや謙也羨ましいんか?せやったら俺のだし巻き卵あーんしたるで」
「いらんわっ!」
「先輩ら、キモいっすわ。大体、彼氏を差し置いて人の女と昼飯やなんてもっと気を遣ったらどうです?」
「え?」
『ひ、光?』
「ほんま空気読めへんわー」

いきなり頬杖ついて向かい側に座る2人に面白くなさそうに言うからびっくりしてしまった。

「え…なんかすまん…」
「せやかてここ俺の席やもん。……ま、妬くのも程々にせな嫌われるで」
『え?え?白石?謙也?』

白石が1つ溜息をついて、しゃあない奴やなぁって呟いたかと思ったら食べ終わったお弁当をさっさと片付けて席を立った。

「ほら、行くで謙也」
「え?俺まだ食うてるんやけど…ああ、もう!」

謙也が光と白石を交互に見て、それから食べていたパンを口に突っ込んでから牛乳を飲み干して謙也も席を立った。

「ほな、ごゆっくり」

愛想笑いみたいに不自然なほどニッコリと白石があたし達に笑いかけてから、2人は教室を出ていった。

『なんだったのあれ…』
「邪魔者が消えてちょうど良かったやん」
『邪魔者って…』

後から来たのは光じゃん、と言いかけたけど後が怖くなったから飲み込んだ。

「てゆうか、普段先輩らと食べてるやなんて聞いてないんやけど?」
『だって他の子彼氏と食べるて言うんだもん』

だから、余り者同士3人で食べてるんだよって言うと光は溜息をついてアホやろ、って眉間に皺を寄せて言ってきた。

『え、なんで?』
「せやったら俺と毎日食えばええやんか」
『え、いいの?』
「当たり前やん。じゃあ、明日から約束な」
『うん!』

そう言うと、ちょっとだけ嬉しそうに光が笑って私の髪を指に絡めた。

一緒に食べよう?
「友達と食べてるんかと思って遠慮してたんに、ほんま損したわ」
『えー!私も友達と食べてると思って遠慮してたのに……!』
「(なんとなく購買帰りに3年の校舎経由で通って良かったわ…そうやなかったら、知らんままやったし)」
『てゆうか!もしかして…妬いてくれたの?』
「……」
『……ふふ、光大好き!』

ALICE+