サエさんと私の関係はすごく絶妙であると思う。私とサエさんは自分で言うのも何だけど、仲が良い。去年からクラスが一緒で隣の席になることが多かったから、いつの間にか仲良くなった。
そんな私は絶賛片思い中で、いわゆる友達以上恋人未満みたいな関係。

サエさんは、あれでいて意外にSな所があるから自分から何かアクションを起こせばもしかして……なんて思ったりもするけど。
そうじゃなかったら、なんて考えたら死にそうになる。
……ということで、私は今の関係のままで良いかな、なんて甘んじていたりするわけで。


……だけど、私はいま少しイライラしていた。でも、ドキドキもしていて、心臓が痛い。

サエさんが女の子と2人きりで歩いている所を見かけてしまったのだ。
しかも、それだけなら小心者の私はイライラなんかじゃなく、不安と焦りで心臓がバクバクしているはず。

……なのに。私がが苛々してしまってるのは、ほんの10分前のこと。
1年生らしきその女の子とこっちに向かってくるサエさんに見付かりたくなくて、渡り廊下の途中で校舎裏に隠れたのだ。

それがいけなかった。
大人しく引き返せば良かったのに、中途半端に変な所に隠れるからサエさんと女の子はこっちに来てしまったのだ。
そして急いで茂みに隠れてから雰囲気で気付いてしまった。

これは告白現場だと。
だけど……、その女の子は中々決心が付かないのか、もじもじと約10分核心に触れないままで現在に至る。

本来ならばサエさんが告白OKしたらどうしよう、だとか考えて不安になるはずなんだろうけど、それよりも女の子の核心に触れない、もじもじした態度に苛々し始めてしまった。

てゆうか、こんなの鈍感な人でも普通これなら気付く……よね?
断るなら核心をつく前にやんわり断ってあげる方が傷付かなくてすむはず。きっとサエさんだったらそうしてくれそう、だと思う。

なのに……言葉を待ってる、何も言わない、ということは……まさか告白OKだから最後まで聞きたい。とか?!そうだったら、どうしよう!

そんなそんなそんな!


「なまえ、そこで何してるの?」
『……へ?』

聞き慣れた声がして恐る恐る顔を上げると、そこにはサエさんがにこにこ楽しそうに笑顔を浮かべて、私を覗きこんでいた。

『な、ななななんで!』
「渡り廊下から隠れるの見えてたからさ」

なんと……最初からバレていたという最悪のパターンですか。

『だだだだって!サエさんが!』
「だってじゃないだろ?」

少し呆れてサエさんが笑うもんだから、ほんの少し胸を撫で下ろ…す前に告白の答えは?

『サエさんあの子と付き合うの?』
「なまえ、こんな所にいたのに聞いてなかったの?」
『うん…、まぁ』

だって途中からそれどころじゃなくなったんだよ。脳内では告白OKしちゃう方向になってたし。
そしたら、あんな小さな女の子の声なんか聞こえないに等しかった。

「なんだ、俺が告白されるの嫌で覗いてたんじゃないのか」
『覗いてただなんて……!』
「覗いてただろ?」
『あ、……はい』
「素直でよろしい」

もうバレてるんだ、誤魔化したってしょうがないと思って、素直に肯定するとサエさんがくしゃくしゃと私の頭を撫でた。

「なまえは可愛いな」

そう言われて、ドキン、と脈打ったのと同時にペットみたいで、なんて付け足されてときめき損。

「これであと、嫉妬したなんて言ってくれたら完璧なんだけどな」

残念、と言って笑うサエさんに何言ってんの、なんて笑い飛ばしながらも、さっきとは比べ物にならない速さで動悸がする。
……嫉妬してただなんて言える訳がないじゃん、馬鹿。

そもそも
嫉妬だなんて
甚だしい


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