「なぁ、新開ってさ」
「なんだ?」
「お前さ、みょうじと付き合ってんの?」

休み時間、いつも通りの雑談をしているとクラスメイトの一人が興味ありげに聞いてきた。

「……なんで?」
「最近仲良いんじゃね?」
「確かに!この前一緒に帰ってるとこ見たぞ?」

一人が聞けば、皆が興味津々に話題は一気に変わってしまった。なんだよ、全く。今まで俺が付き合おうが、別れようが、特に対して興味も持たなかったくせに、何で今回に限ってそんな話題に……。

「いきなり、なんなんだよ」
「いや、みょうじって地味だし新開の今までタイプから考えると珍しいタイプだよな?」
「確かに地味だよな。男と喋ってんのあんま見たことねぇや」

地味地味って、なまえは本当は笑ったら可愛いし、笑わなくても……って、俺重症かな。

「俺はみょうじって結構可愛いと思うけど」
「あ、俺も!地味だから目立たないけど実は意外と可愛いよなみょうじって」
「新開、まじで付き合ってんのか?」
「なに、お前狙ってんのかよ?」
「俺、みょうじなら有り」
「うわ、こいつ目がマジだ」

ケラケラと皆が笑い、俺が参加しなくても話が進んでいくことに苛々してくる。俺は何も言ってないのに、どうしてそうなるんだ。

「なぁ、新開どうなんだよ」
「みょうじはダメだ」
「ちぇ……やっぱり付き合ってんのかよ」
「そもそもみょうじって地味じゃないか?あんなのと付き合ったって楽しくないだろ、ノリで付き合いたいとかからかうのやめろよな」
「おい新開?」
「対して可愛くもないしさ、面白くもないし付き合うとかねぇよ」

一息で全部言い切ると、皆がびっくりしたような顔をして俺を見た。なんでも良いからもうなまえの話題は早く終われ、そう思った。
それから数秒の間を挟んで、一人が理解したかのように笑えば全員の強張った表情が和らいで、この話もようやく終わりを迎えようとした。馬鹿みたいに嫉妬心丸出しの俺の言葉を理解したのか、真に受けたのかは分からないけれど。
その時だった。
一人が焦ったような顔をして、なまえの名前を呟いた。

「みょうじ……」
「…っ!」

存在を気付かれたなまえは焦った様に踵を返して、教室から走り去っていく。反射的になまえの名前を呼んだけど、それが彼女に届くことはなかった。

「最低よっ、ひどいっ新開くん…!」
「てゆうか完璧、お前墓穴ったな」
「おい、新開追っ掛けなくて良いのかよ」

口々に好きな事を言いふざけたけど、一瞬の間をおいてから大丈夫かよっていう心配そうな雰囲気が漂う。空気が追え、と言っているけど俺の腰は上がらない。……ここで追ったとしてどう弁解すれば良い?分からなくて、俺の重たい腰は動こうとしなかった。
どうしようもなく、ため息をつくと誰かが察してすぐに話題を変えてくれたけど、俺は参加出来る気分なんかにはならなかった。

あぁ、俺、またフラれるんだな。
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