「お前、今日調子悪すぎィ」
靖友が終わり際に呆れたような顔でそう言った。全く言い返せないほど、確かに今日は誰が見ても調子が悪かった。だけど、それを肯定するのが悔しくて何も言い返せなかった。
「どうせ、またフラれたんだろ?」
「フラれて……ない、まだ」
「まだァ?なんだソレ」
てゆうか新開お前、今日デートだとかこの前浮かれてなかったか?なんて、覚えていなくて良いことを靖友はちゃっかり覚えていて、ため息が思わず出る。
「しゃあねぇな…、今日は俺が奢ってやるよ。腹へったしな」
「……俺も空いた」
だけど、靖友のぶっきらぼうな気遣いは嬉しいし変に心配されより助かる。約束した待ち合わせ5時。
でも……、あんなこと言ってしまったんだ。約束なんてもう無しだよな。本当だったら靖友の誘いは断って、今すぐにでも向かうはずだったのに、な。
そう思うと、時間の流れはいつもより遅く感じた。どうせなら早く過ぎていけば良いのに。謝りたい、……だけど今さら遅いよな。傷つけた。
あんな事、本当は思ってないからって言ったら、じゃあなんで言ったの?ってなるよな。言い訳がましい、か。だけど、本当にそう思ってなんかいないのは真実で、なんであぁなったのかと言えば、俺のただの嫉妬。そう正直に言えばなまえは許してくれるんだろうか。
でも、あの時のなまえはすごく傷付いた顔をしていて、俺は追いかけることも呼び止めることも出来なかった。
「俺ってだっさいな」
「……今さら?」
「今さらってなんだよ」
「あんだけ付き合うだの、フラれただの繰り返してといてヨ、今さらダサいだのカッコイイだのあるわけ?新開ヨォ?」
靖友がポテトを俺に向け揺らしながら、けだるそうに言った。
「じゃあ……今さら弁解してもカッコ悪いもないか?」
「ねェよねェよ、今さらんな事ゴチャゴチャ言ってんじゃねェーヨ!」
時計を見れば5時半。今から向かっても駅前までは30分はかかる。
多分、待ってないと思う。だから行っても無意味。だけど、なまえは待ってる気がした。俺の都合の良い願望なだけかもしれないけれど、それでも、
「ごめん、俺」
「行けよ。つーかァ、まだ行かねェーつもりなら尻叩いてやろうかと思ったっつーの」
「靖友……、ありがとう」
「言っただろ?今日は奢りだって。俺は待ってると思うぜ、みょうじチャン?」
ニヤニヤと笑った靖友は確信犯で、俺は上手いことお節介をやかれてしまった。それに気付けば少し悔しかったけど、それは言わずにお礼だけを言葉にして、1人で店を出た。
ねぇ、なまえ。もし君が待っていてくれてたとしたら、それは期待しても良いってこと?俺のカッコ悪い嫉妬だったんだ、って謝ったら許してくれるか?
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