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暑い、アイス食べたいキンキンに冷えたアクエリでも良いなぁ。そんな事を考えながら学校までの道を歩く。気休めに日傘を差すけど、結局着いたらそのまま部活だからほとんど意味がなくて、だけど少しでも陽に当たりたくないからしょうがない。

結局途中にあったコンビニでアイスもアクエリも買ってしまった。
アイスは溶けるから歩きながら食べようっと。平日ならこんな事できないけど、今日は休日だし部活動のために学校へ行くから成せるわざ。
余りに暑くて買った、いつものラクトアイスではなく氷菓の棒つきを袋から出して頬張る。
美味しい…生き返る、ひんやり甘い氷が口に広がって少しだけ身体が冷える気がする。幸せな気分を噛み締めながら、二口目を口に運ぼうとしたけれどそれは叶わなかった。

『……ちょっと御堂筋くん』
「美味そうなもん持ってはるなぁ?」
『持ってはるなぁ、…やないんですけど』

一瞬で三分の一ほどをかじった犯人を恨めしそうに見上げれば、器用ににんまり笑いながらシャリシャリと私のアイスを食べた。まだ一口しか食べてないのに……、

「まだあるんやからええやん、ボクとなまえの仲やろ」
『なにそれ、マネージャーと部員の仲なだけでしょ?』
「ただの部員やのうて、ボクはエースやけどな」

そう言って、結局残っていたアイスもパクりと一瞬でただの棒になってしまった。

『御堂筋くん……ひどい!私のアイス!60円返して!いや64円ね!』
「そないに喚かんでも良いやろ、帰りに買ったる」
『……なら許す』

意外とすんなり承諾してしてくれたからびっくりして、ちょっと間の抜けた顔をしてしまったけど当の本人はにっこり嬉しそうに笑ってる。
なに、怖い。これ買ってくれるんだって喜んでたら実は買ってくれないとかそういうパターンなのかな、もしかして。もしくは信じたん?キモォ、みたいなパターン?
すっかり疑心の眼差しで御堂筋くんを見れば、馬鹿にしたような目で笑われた。

『御堂筋くんって腹立つね』
「なんでなまえはボクだけに冷たいんやろか…」
『だって御堂筋くんがいっつも私をからかうからだよ』
「からかっとるつもりはないんやけどなぁ、ボク」
『じゃあ、なんなの?』
「だってボク、なまえの事好きなんやよ?」
『……え?ま、まさかぁ…』
「まぁ、信じんならええよ」

綺麗な歯ならびを惜し気もなく見せびらかして、笑う御堂筋くんの目は笑っていなくて怖い。何にも言えずに立ち止まれば、はよ行かな遅刻するで、と言い残してすたすたと先に歩いて行く。
私の手には御堂筋くんがかじったアイスの棒だけが残った。……これ絶対からかわれてるでしょ。こうなったら帰りは必ずアイス買ってもらうんだから。
さっきより顔が熱いのは暑さのせいにしよう。……あぁ、早く涼しくならないかな。
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