04

巻島くんと目が合ったあの日から、こっそり部活姿の彼を見ては、暗くならない内にこっそり帰る、というのを繰り返すようになった。初日のあの日以来、目が合ったことはない。それは多分、私が見付からないように毎日場所をころころ変えているからだと思う。

「なんかさ、なまえストーカーじみてきてない?」
「そんなことないもん…!好きな人を見ていたいって気持ちは普通でしょ!」
「そうだけど……隠れてるあたりが怖い」

だってだって、巻島くんを見てるってバレたら=(イコール)好きなのがバレるってことじゃない?それは無理無理。とはいえ、この席もとうとう今週いっぱいで終わり。結局挨拶交わしたりするだけで、友達どころか、クラスメイトどまりだし。この席になって巻島くんのことをいつの間にか好きになって、ただそれだけで終わりとか、虚しすぎる。

「なんか元気ないっショ」
「そんなことはないんだけど……って、え!?」

ふいに声を掛けられて、反射的に答えたけれど、巻島くんじゃん…!うわうわ!話しかけられちゃった!あわあわとする私を見て、巻島くんは少し眉間にしわを寄せた。やばい……、鈍臭いとか思われてるかも!

「あ、あの!」
「なに?」
「巻島くんが声かけてきてくれるって、初めてだな、って!」
「……」

あ、あれ?巻島くんの眉間のしわが、より深くなる。……もしかして私、空回りしてる!?

「……」
「なんか……ごめんなさい!」
「……クハ、」

え?うっそ……、巻島くんが!今笑った?笑った?笑ったー?!

空回る髪

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