08

もっと分かりやすく、とは一体どうすればいいのか……と悶々と考えて1日が終わってしまった。もっと突っ込んで聞けば良かったと、後から後悔したけど、それに気付いた時には既に遅かった。考えれば考えるほど、期待しても良い……ということなのかと考えてしまうけど。
いや、そんなはずは!と、迷子になりそう。いや、もうなってるか。
でも、もっと分かりやすくしても良い……、ということは。少なからず嫌悪感はないってことで良いん、だよね?

「……今日はため息か?」
「え、あ!ま、巻島くん!…お、おはよう!」
「おう」

ど、どうしよう!昨日のことを思い出すと、恥ずかしくて巻島くんの顔が見れない!巻島くんが、どう思ってああ言ってくれたのかは分からないけど、もしかしたら私に気を遣ってくれたのかもしれなくて、そしたら余計に申し訳なくて恥ずかしいし、そうじゃなくても恥ずかしくて、どっちにしても、恥ずかしいことには変わりないのが辛い。ていうか、毎日のように見てることがバレてたとか、よくよく考えると間抜けな上、本当に恥ずかしいやつだよね?
顔から火が出るとは、このことだわ……

「……おい、大丈夫か?」
「え?」
「百面相してる」
「え、うそ!?恥ずかしい!」

声に出してなかっただけマシかもしれないけど、見られてた!うわ、もう無理!
ていうか、昨日からキャパオーバーだよ。

「で、今日は何なんだ?」
「いや、なんでもないんだけど。……でも、」
「でも?」
「嫌われてない…なら、もっと話しかけても良い?」
「は…?」
「例えば、特に用事がなくても、とか。……そういうのは、OKですかね?」

どきどき。自分の声より大きいじゃないかと思うくらい、心臓の鼓動の音が煩く感じた。

「そりゃ、良い……というか、そんなこといちいち聞かなくても良いッショ…?」

そう言ったあと、巻島くんが照れたように視線を外した。巻島くんでも、こんなに感情を露わにすることがあるんだって思うのと同時に、それをさせたのが自分なんだと思ったら、ずっと悩んでたのが吹っ飛ぶくらいの威力で私の気分が上向きになった。
私って、本当に単純。

結ぶ髪

ALICE+