番外執事×乙女


『小春ちゃん、小春ちゃん』
「ん〜?なんでしゃっろ?」
『今日のお茶はあの子とテラスでしたいな〜』
「それはそれは、天気もええし良い考えですわ」

にこにこと、お茶菓子は何にしましょうかね〜なんて笑ってくれる小春ちゃんに私も顔が緩む。小春ちゃんは、両親が中等部へ上がると同時に私付きでうちの家に入ってきた執事さん。

実際は年上の男の子なんだけど、全然そんな感じがしなくてなんだか面倒見の良いお姉ちゃんって感じで大好き。

「ユウくんとお嬢さまはどこかへ行かれたん?」
『うん、フランの散歩に』
「せやったら準備しときましょうか、帰ってきたらちょうどええでしょ」
『うん、そうだね』
「なまえちゃん、行きましょ」

小春ちゃんは、あの子…妹をお嬢さまと呼ぶけれど、私をお嬢さまとは呼ばない。必ず名前で呼んでくれる。

ずっと、双子だった私達姉妹を見た目で判断出来る人はいなかった。話したりすれば分かるけれど、執事長だって時々間違えるくらいで。
なのに小春ちゃんは違ったの。はじめまして、って言って笑って手を差し延べてくれたその時から一度も私とあの子を間違える事はなかった。

ずっと、あの子と一緒でお互いを依存してるみたいに何をするのでも同じだった私達の世界を変えてくれた。本当にお姉ちゃんみたいに優しくて、何でもしてくれて。

「マカロンとスコーンどっちがええ?」
『あの子はスコーンが良いって言うと思うんだけど…』
「なまえちゃんはマカロンがええんでしょ?」
『……うん』
「じゃあお嬢さまはスコーンで、なまえちゃんはマカロンにしましょうか」
『良いの?面倒くさくない?』
「何言うてるん、それがあたしの仕事よ!」
『ありがとう!』

任せなさい!って笑う小春ちゃんに嬉しくなって抱き着くと、ちょっと困った様な呆れた様な顔をして、それでも頭をそっと撫でてくれた。
やっぱり小春ちゃんは何でも分かってくれるし、他の執事やメイドなんかと全然違う。
だから好き。

「さて、そろそろお嬢さま達が帰ってくる頃やね。紅茶はアールグレイでええ?」
『うん!あの子はミルクで、』
「なまえちゃんはストレートやろ?」
『……そう!』

小春ちゃんは私を喜ばせるのが感心するくらい本当に上手。抱き着く腕に大好きを込めてまた少し力を入れた。

お姉ちゃんみたいな優しいこの執事が私は大好きなのです。

「ただいまー!」
『お帰りなさい、テラスにお茶の準備してあるよ』
「紅茶ちょうど入った所やで」
「さすが小春ぅ〜!」


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