「……ということです。ですので、しっかりと考え希望を出す事。自分の将来なのですから自分自身で納得のいく結果になる様に沢山悩みなさい」

「なぁ、白石?」
「なんや?あ、砂糖はいらんからミルク多めで」
「あ、あぁ分かった。あのあれや!進路希望どうするん?」
「おおきに。あぁ……今日のあれか?」

今日の授業も終わり1日も終わりを告げるのを待つだけやとなった、夕食後の自室。
最初は白石に要求されていれとった紅茶も、もう2年近く経てば日課の様になってしもうた。
せやけど、この定まらんこいつの好みだけは覚える事もままならんままやけど。(昨日はミルク無しの砂糖2杯やったんに)

「謙也は決めたん?」
「んー……まだや。俺白石みたいに成績良い訳やないしなぁ…」
「紅茶しか能がないもんなぁ」

紅茶片手に笑う白石はムカつくんやけど、様になっとって笑うに笑えん。

「で。白石は?どうせ好きな所選び放題なんやろ?」
「まぁ、俺の成績やったらどこでもどうぞやなぁ」

……なんやてこないな上から目線な台詞を、自然に言えてしまうんやろかこの男は。ナチュラル過ぎて逆に尊敬するわ。

「……もったいぶらんと言えや」
「せっかちやなぁ。まぁ、選ぶもなにも俺は指定求人来とるからそこに決まってんのやけどな」
「……ほんまに?」
「そうやで。俺も最近知ったんやけど元々俺が入学した時から声掛かっとったらしいわ」

なんやこの男。
成績優秀なナルシストなだけやのうて指定求人まで貰っとるやなんて……。ほんまに世の中は不公平や!

せやけど俺は真面目に就活活動せなあかんなぁ…


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