「なまえ、ちょっとおいで」
『パパッ!帰ってたの?』

今日は何の予定もなく暇だったから、メイドさんに遊んでもらおうと廊下を歩いてた時だった。後ろからパパに声を掛けられた。

「今日はお前に逢わせたい子がいるんだよ」
『誰だれっ?』
「おいで、蔵ノ介」
「はい、旦那様。……はじめまして、お嬢。今日からお嬢専属の執事になった白石蔵ノ介いいます。よろしゅう。」
『は……?』

なんだこれ。
この実はどっかの国の王子ですー、みたいな顔の男は。整い過ぎでしょ。
え、この人が私専属の執事とかパパったらどんだけ面食いなの…?
いやいやパパにはママがいるし……ってなんだか訳が分からなくなってきた。

「ははっ、どうしたんだなまえ?蔵ノ介くんが格好良すぎて固まったのか?」
『……』

いやでも、ぶっちゃけ…ぶっちゃけた話…格好良いけど。クラスの男子とか他の執事なんか比べものにならない位。

「俺が来たからには今までみたいに我が儘生活は送らせへんで、お嬢。覚悟しといてな」

……前言撤回。目が本気だ。

『え、パパ…?』
「頼もしいなぁ!良かったな、なまえ!」
『え、全然良くないし!』

てゆうかだってまずこの人私に対して敬語使わないしなんか上から目線な気がするし…!

『…い』
「どうした?」
『いや!この人いや!』
「何言ってるんだなまえ、もう蔵ノ介くんは今日から住み込みなんだぞ」
「嫌われてしもたかな……まぁ、でもこれからやな」

なんなのこの自信満々な顔…!む、むかつく!


よろしくお嬢、
そう言って笑った蔵ノ介の顔を忘れない……


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