きらびやかなシャンデリアや、色とりどりのドレス。楽団による生演奏のワルツを聞きながら、オリヴィアは笑顔を浮かべたまま、心の中で「つまらないわね」と悪態をついた。
 目の前で「本日もご機嫌麗しいようで。相変わらずお美しいの一言ですね」と愛想よく笑う狐のような顔の貴族に「まあ」と照れたように俯いてみせる。それで気をよくしたらしい貴族の男は、ぺらぺらとオリヴィアを褒める言葉を並べ立てだした。
 陶器のような肌だとか。月の光を編み込んだような銀髪だとか。宝石のような緑の瞳だとか。よくもまあそれだけぺらぺらと誉め言葉が出てくるわね、と思いながらも、やはりオリヴィアは「そんな」と頬を染めてみせる。
 銀色の、ゆるく巻かれている腰下までの髪を編み込み、おくれ毛をいくらか残しまとめ、大きな生花で飾られたそれに意識をやって、うちの使用人はすごいわねえ、とのんびり考える。
 夜会や舞踏会といえば、朝から支度に手間をとられ、肌をマッサージしたり髪の手入れをしたりドレスの着付けだったりと一日仕事だ。それをオリヴィアが「そんなに時間なんかかけなくたっていいわ」と言い、半日にも満たない時間でオリヴィアの屋敷の使用人たちはオリヴィアを仕上げてしまう。
 それでも尚、オリヴィア自信の身分もあるが、会う人全員から誉めそやされるというのはもはや使用人の力としかオリヴィアはおもえなかった。
 夜会があるということをすっかり忘れていたオリヴィアが、夜会の一週間前にヨーデルから「当日のエスコートは僕でいいですか?」と言われ夜会があることを思い出し、急遽手配したマーメイドラインの青いドレスも数日のうちにオリヴィアの体にぴったり合うものに仕上がってきたのだから、さすがとしか言いようがない。

「オリヴィア様、ごきげんよう」
「まあ。ごきげんよう」

 会話に新たに入ってきた貴族男性に愛想よく返事をしながら、オリヴィアはちらりと視線を自分の後ろへやる。が、そこにいるべき自分の騎士がいないのを確認して、そうだったわ、とまた心の中でため息をついた。
 オリヴィアには、この帝国の騎士団とは別に、個人的に雇っている騎士が数人いる。普段は全員それぞれ、帝都の外で様々な情報をオリヴィアにながす役目をしているのだが、オリヴィア付きの騎士だけは、常にオリヴィアのうしろに控えさせていた。
 護衛という意味もあるし、常に騎士を控えさせているだけで他貴族へのけん制の意味もあった。
 が、いつもいるべき場所に、その騎士の姿はなく。

(どうしてこのタイミングでハルルにやっちゃったのかしら)

 王都を出てすぐにあるデイドン砦あたりからアスピオまでの道のりにある、ハルルという街に、その騎士を派遣したばかりだった。
 丁度砦あたりからアスピオに常駐させている騎士――ルイスからの連絡が入らなかったため、たまには羽を伸ばしてきなさい、とオリヴィアはその騎士を外へ出したのだ。情報収集もかねて、ではあるのだが。
 夜会のことなどすっかり忘れ去っていたためだったが、こんなことならしっかり覚えておけばよかったとオリヴィアは形のいい唇をかんだ。後ろにその騎士――シエルが控えているだけでも、随分心持が違うのに、と思う。
 メイドから受け取った甘いカクテルを揺らして、オリヴィアは適当に貴族の会話に相槌を打っていた。シエルがいないというだけで、つまらない夜会がこんなにも最底辺におちるほどつまらなくなるとは思わなかったのだ。
 そもそもシエルがいないために、こうして気軽に話しかけてくる貴族がひっきりなしなのだが。

「そういえば、下町のやつがまたやらかしたそうですね」
「やらかした?」

 声をぐっと潜めてつぶやいた貴族の言葉に、オリヴィアはふっと意識を浮上させる。少しだけ、上目遣いに見えるように首を傾げてみせれば、会話をしていた貴族二人の瞳がオリヴィアをむいた。
 下町といえば、オリヴィアもよく屋敷を抜け出していく場所のひとつだった。抜け出しても何も、オリヴィアの屋敷の使用人はほとんどが市民で構成されているため、抜けだそうが身動きのとりやすいワンピースを着ようが、お咎めらしいお咎めは受けないのだが。唯一貴族の執事である初老の男も、オリヴィアと同じような考えのため、オリヴィアが抜け出そうと、怪我を心配する程度で特に何も言わないのだ。
 ただ、母親に知られてしまえば多少叱られるので、使用人には屋敷を抜け出す際にはかん口令だけは敷いている。

「ええ。うちの次男がキュモール様の隊で騎士をしているんですがね、税の徴収に行ったシュヴァーン隊の騎士とキュモール隊の騎士がユーリ・ローウェルという下町の男を捕らえていたのを見たとか」
「まあ」

 そういえば下町に行った時とアレクからよく聞く名前ね、とは思うが、貴族の噂話ほどどうでもいいものはない、とオリヴィアはカクテルに視線を落とす。
 貴族の暇つぶしといえば貴族以外の住民を貶すことや、下町や市民街の噂話を悪く広めることなのではないのか、と思うほどにその手の話題は多い。
 どうせ今日もまたそんな話題なんだろう、と思ってオリヴィアがひとくち、上品にカクテルに口をつけた。
 住民の税金があってこそ貴族として暮らしていられるのに、その責務を果たそうとしている貴族はどれほどいるのだろうか。各地に領地のあった昔とは違って、今は領地を持っている貴族のほうが少なくなっている。そのため、住民と距離が遠く、市政に心を砕く貴族というのはほぼいないと言ってもいいほどだった。
 税の徴収に行ったシュヴァーン隊はともかくも、キュモール隊ともなればその仕打ちは安易に想像がつく。プライドの高い貴族で構成されたアレクサンダー・フォン・キュモールが隊長をつとめるその隊は、平民嫌いで有名である。税金が払えないだけで独房に入れられたり、蹴られたり、ひどい仕打ちにあったりという言葉を、オリヴィアも下町に出ると聞くことがあった。
 アレクサンダーは、オリヴィアのおさななじみでもある。物心ついた時から気が付けばいつも居たような、そんな間柄であった。貴族らしい貴族で、市民が嫌いで。この国の貴族をあらわす、悪い意味で模範的な男だ。
 その批判的な態度や度の過ぎた行為に、オリヴィアは両手では足りないほどに注意をし、時にはこぶしも出したことがある。が、オリヴィアと、一応騎士であるアレクサンダーでは、オリヴィアのパンチなど猫パンチにも満たなかった。
 幼いころから知っているがゆえに、憎みきれず。会うたび必死に言葉で言ってきかせても、当のアレクサンダーは「まあ君は世間を知らないから」の一言で片づけてしまう。
 これくらいしてもあの虫けらどもはなんとも思わないよ、と言われた時などは、さすがにオリヴィアも腹が立ちすぎて、こぶしではなくアレクサンダーの頬にビンタをかました。

「なんでも税金が払えないとかいう理由で、下町の代表として騎士に喧嘩を売ったらしいですよ。まあそこは栄えあるシュヴァーン隊にキュモール隊! その男を捕らえて牢屋にぶち込んだとか」
「いやあ、野蛮な下町の住民が考えることは理解ができませんな。オリヴィア様も、次期皇帝候補である貴女様に限ってないとは思いますが、係わり合いにはならぬようお気をつけください」
「まあ……」
「ああ、そんなにおびえずとも大丈夫ですよ。何かあればうちの次男も騎士をしています、私が言えばオリヴィア様の護衛もすすんですることでしょう。いえ、何よりあのような下劣な下町の奴らなど消えてしまえばいいのですが」
「いやなに、うちの三男も騎士をしていましてね。下町の連中からの護衛なら、お任せください」
「本当に、おそろしいですね」

 シエルがいないためか、護衛にまで口を出す貴族二人の前で、オリヴィアは瞳を伏せて怯えた様子で口元を覆う。それに気をよくしたらしい貴族二人は、我先にと口を開こうとするも、ふと視線をあげたオリヴィアの瞳が、自分たちを見てびくりと揺れたのを感じ、はっとしたように口を閉じた。

「わたくしには、考えもつきません……帝国を支えている住民に向かって、消えてしまえばいい、なんて」

 緑の瞳に恐怖が乗っているのを見た二人の顔色が、ざあっと真っ青になるのを見てオリヴィアは笑いたくなるのをぐっとこらえた。にやけてはいけない、とすぐに俯けば、ますます慌てたような声が目の前の二人から落ちてくる。
 帝国を支えているのは、まごうことなき貴族以外の住民だ。それを毛嫌いして、身分だけがすべてのように言う貴族が、オリヴィアはだいきらいだった。
 自分より身分が下とみれば、まるでゴミのように人間を扱う貴族もいる。大けがをさせて、犯罪に手をそめても、簡単に牢屋から出てこれる貴族が、帝国が、オリヴィアはきらいだった。
 そして次期皇帝候補であるオリヴィアを含めた他二人に対しての機嫌取りをされることも、鬱陶しいことこの上ないと思っている。

「い、いえ、オリヴィア様」
「そのようなことはなく、言葉のあやといいますか」
「――少し気分が悪いので、下がらせてくださいませ。どうか夜会をお楽しみくださいね」
「オリヴィア様!」

 口元をおさえたまま、オリヴィアは儚げに微笑んでその場をあとにする。うしろから必死にオリヴィアを呼ぶ声が聞こえたが、聞こえないふりをしてオリヴィアはカクテル片手に人にまぎれ、人の少ない壁際へと移動していく。
 さすがに追いかけてはこない男二人にオリヴィアはほっと肩から力を抜いて、つかれたわ、と誰にも聞こえない程度の声でつぶやいた。
 ユーリ・ローウェルという名前は、オリヴィアにとって本当によく聞く名前だった。城に訪ねた時も騎士がたまに話しており、牢屋に入っているだの、メシがまずいとうるさいだのと聞いたことがあった。
 が、そのユーリという男が牢屋に頻繁に入っているのは、下町の住人のためだとオリヴィアは思っている。
 税金が高すぎて払えない人をかばっては牢屋に入れられるの繰り返しだと、アレクサンダーや下町の住人、城で働く騎士たちからの話をまとめて、オリヴィアはそう考えていた。

「貴族って面倒ね……。下町に嫁いだら縁が切れるかしら……」

 つい、ぽろりとこぼした言葉だった。カクテルが半分程残ったグラスをゆらりと揺らして、シエルがいつもいる気持ちで、つい。人の少ない場所であり、楽団の奏でる音楽や人の話す声で普段ならかき消されてしまうであろう声量だった。
 にもかかわらず、オリヴィアのすぐ近くから「ぶふっ」と、吹き出すような声がして、ぱちり、と長い睫毛を一度閉じ、オリヴィアはその声のほうへと視線をやる。
 壁際や会場の至るところに、均等感覚で騎士が控えている。それを分かっていて、オリヴィアは壁際に行き、完全に油断が生んだものではあったのだが、ぽつりと本音を漏らした。
 思わず、といった笑い声もその騎士のもので、騎士は「し、失礼しました」と言うと、透き通った空のような瞳をオリヴィアに向け、笑いをこらえるように唇を噛み真顔を装う。
 月の色をした短い金色の髪、それに空色の瞳。凛々しい、と言うよりもその中に少し甘さを残すその騎士に、オリヴィアは「なにか?」と猫を被っているときの穏やかな声音で話しかけた。

「い、いえ」

 素と猫かぶりのあまりの差にか、金髪の騎士は笑いをこらえるように首を横に振った。
 じっとその騎士を見て、オリヴィアはなるほど、と思う。敢えてオリヴィアも、この騎士がいる場所を選んだところはあるのだ。自分と同じ皇帝候補であるエステリーゼからよく出てくる騎士、フレン・シーフォ。
 金色の髪に、空色の瞳でとっても素敵な人なんです。とはエステリーゼの言葉だ。
 騎士に恋なんて素敵ね、と思ったものだが、どうも話を聞いていれば城の中で、よく話し相手をしてくれる人らしく。どちらかといえば、妹が兄になついている様によく似ていたため、オリヴィアも、エステリーゼという自分の妹分の恋を応援するということになるわけでもなかったのだ。
 そもそもオリヴィアはエステリーゼやヨーデルとは違い、城に住んでいるわけではない。母親が前皇帝陛下、オリヴィアにとっては父親から、勢力争いに巻き込まれないように、と城の外に屋敷をひとつもらっていた。――それも意味をなさない結果にはなっているのだが。
 そのため幼少期から城ではなく屋敷で過ごしており、城での話し相手にオリヴィアも、男であるヨーデルもなることはかなわなかったのだ。
 だからか、たまに会うとエステリーゼから出てくるフレン・シーフォという騎士が、オリヴィアは気になっていた。城の中にいるということは、それなりの地位である。そしてそのフレン・シーフォは下町の出だというではないか。それだけで興味がわいたのだ。
 下町から来ている使用人にフレン・シーフォのことをたずねても悪い噂や話は一切出てこなかった。しいて言えば、幼馴染らしいユーリ・ローウェルとよく喧嘩はしていた、とのことだったけれど。それも子供の頃の話であり、オリヴィア自身アレクサンダーと喧嘩などよくどころか顔を合わせる度にしていたため、仲がいいのね、と思っただけだった。

「言いたいことがおありなら、教えてくださいませ、フレンさん」

 名前を呼んでやれば、フレンははっとしたように空色の瞳を見張る。けれど、笑いをかみ殺したような表情のまま、それを見られないようにすっと頭を下げ「無礼をお許しください」と真摯な声で小さく言った。
 これじゃ随分騎士の中でも生きにくいだろう、とオリヴィアも思う。もしくはオリヴィアのことをエステリーゼから聞いていたかもしれないが、次期皇帝候補であるオリヴィアは城にほとんどいないため、顔までは知られていないはずだと首を傾げた。

「構いません。それに、無礼だなんて思いませんわ」

 儚げに微笑むオリヴィアに、フレンはまるで面白いおもちゃを見つけたような瞳を向ける。不思議なものを見るような、見たことのない不思議なものを見るような。貴族に向ける視線ではなかったが、オリヴィアはそれを不快とはまったく思わずに小さく微笑んだだけだ。

「――先ほどの口調のほうが、貴女らしいですよ」

 オリヴィアの瞳も同じような色だったのだろう。フレンはしばらくじっとオリヴィアを観察したあと、小さくそう言う。まさかそんなことを言われるとも思っていなかったが、まあいいか、と思ってオリヴィアは「あらそう?」とけろりと言い放った。儚く見える微笑みだけは、その顔に張り付けてはいるのだが。
 それが妙にツボに入ったらしいフレンは、くつくつと笑いたいのをどうやらこらえているらしい。肩が微妙に揺れているのにオリヴィアは気付き「失礼な人ね」と呟いた。

「し、失礼しました」
「いいわ。あなたと話したくてここに逃げてきたのもあるし」
「ぼ――、私とですか?」

 堅苦しい話し方も、仕方がないかと思って、オリヴィアはそのまま壁際にそなえてある、何脚かの椅子の一つに腰掛けた。フレンの真横にある椅子ではあるが、座ってしまえばテーブルに積まれているケーキやカクテルなどでオリヴィアの姿はほとんどまわりからは見えないであろう場所だ。

「エステリーゼからよく聞く騎士ってあなたでしょう?フレン・シーフォ」
「エステリーゼ様から? ええ、それは多分、私ですが……」
「気になったのよ。悪い人じゃなさそうだから、つい素で話してしまったけど」
「素……って」

 くすくすと笑うフレンに、オリヴィアもふふ、と小さく笑った。上品に見える範囲を出ない笑顔に、フレンは内心ですごいな、と思うがそれはさすがに言葉には出さず。

「私じゃなかったら、あなた罰でもうけているわよ」
「私も、貴女がいい人そうだったので、つい」
「あら、貴族なんてどれも似たりよったりでしょうに」

 飲める気がしない、とオリヴィアは近くを通った使用人を呼び止めて、カクテルグラスを渡す。飲み切れずに申し訳ありません、と困ったように微笑んでみせれば、使用人は頬を染めてそそくさと自分の仕事に戻っていく。
 それを見送ってから、フレンは「いえ」と首を横に振った。

「ありがとうございました。ユーリ・ローウェルは、私の友人なので」
「そうなの」

 知っているが、知らないふりをした。言う必要もないだろうと思ったのだが、フレンははにかむような笑顔をオリヴィアに向けている。どこから話を聞いていたのかしら、と思うが、それを訪ねるのも気が引けた。

「別に庇ったつもりはないのよ。ああいう話が嫌いなだけで。せいぜい次期皇帝候補に嫌われたかもしれない、と思って日々過ごせばいいと思うわ」
「ええと……」
「それに、ユーリ・ローウェルさん、だったかしら。別に悪いことはしてないでしょう? まあ、税金っていうのも必要ではあるけれど……少し待つくらいしてもいいと思うのよね」
「え?」
「徴収に行った騎士が少し融通をきかせればよかったのよ」

 今度こそ、フレンは盛大にふきだして、けれど声を殺すようにして背中を丸めて笑い出してしまった。幸いにも人目につくような場所ではないが、隣でひいひいと言い出しそうに笑う騎士を見て、オリヴィアはおもわず半眼になってしまう。

「そんなに面白いことを言ったわけではないわよ?」
「い、いえ、し、しつれいしま、した」
「――普通に喋ってくれると嬉しいわ。呼び捨てで構わないわ。そんなに笑われて、敬語っていうのも気持ち悪いもの」

 そのオリヴィアの提案に、笑いすぎて涙の浮かぶ目でフレンは「それは」と難色をしめす。けれど折角話のできそうな、下町出身で、夜会の警護を任されるほど信頼のある騎士を逃す手はないだろうとオリヴィアも食い下がった。
 情報収集やパイプ作りのためでもあるが、フレンに興味があるのも大きい。

「私、オリヴィア・ジゼル・ヒュラッセインというの。よろしくね、フレン」
「……皇族と従者ですが」
「そんなもの、とっぱらっちゃえばただの人間同士じゃない」
「くっ……ふ、ふふっ……!」

 オリヴィアの見た目と発言のギャップに、やはり面白さの勝ったフレンがまた笑い出す。それをしばらく見つめていたオリヴィアではあったが、しばらく経っても肩の揺れはおさまることもなく。
 オリヴィアが「もう」と言えば、フレンはそれから少し笑ったあとに「ごめん」と涙を拭きながら言った。敬語も、飾り立てた堅苦しい言葉でもないそれに、オリヴィアはぱちぱちと瞬きをして、それからすぐに満面の笑みを浮かべた。

「あなたの名前は?」
「フレン・シーフォ。よろしく、オリヴィア」

 目を細めて笑うフレンに、オリヴィアもふふふと口元をおさえて笑った。
 つまらないと思っていた夜会ではあったが、収穫は充分にあった、とその日屋敷に帰ってから、またオリヴィアはふふふと笑ったのだ。
 

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