「ステラって、ほんとに箱入りお嬢様?」

 宿の中、ぼんやりとベッドに寝ころびスマートフォンをいじっていたプロンプトが誰にでもなく尋ねた。
 レスタルムで一泊することになり、キャンプでは仕方がないがさすがに宿の部屋は別にしているため、今この部屋の中にいるのはステラ以外の男四人だ。
 そのステラはといえば、イリスのたっての希望でイリスと同じ部屋に宿泊している。一人でいさせるより、万が一夜に何かあったときに私がいたほうがいいでしょ、と言ったのはイリスだった。
 曲がりなりにも王の盾を代々つとめている家系であり、戦闘訓練もそれなりに受けている自分がいたほうがいいだろうとのことだったが、ステラを部屋に連れていくときに「ずっとステラさんと話してみたかったんだ!」と言っていたため、真意のほどはわからなかったが。

「ステラはほとんど屋敷から出ることもなかったらしいぜ?」
「ああ。外に行くとしても護衛付きか城か……。あとは学校くらいだろうな」

 グラディオラスに続きイグニスに言われ、プロンプトは「だよねー」と、スマートフォンをいじっていた手をベッドの上へと投げだした。

「何かあったか?」
「振られたか?」
「じゃなくて!ってなんでそんな話になってるの!?縁起でもない!」

 飛び起きて、何も言ってないしふられてもないですー!と口を尖らせたプロンプトは、それからベッド上であぐらをかき、うーんと首をひねる。
 
「いや、はじめて会った時もそうだったけど、あんまり外のことに驚かないなーって」
「ああ」

 プロンプトの言葉に反応したのはノクティスだった。イグニスやグラディオラスもノクティスのほうへ視線をやった。それをうけて、ノクティスはなんでもないように「昔っからだよ」と言う。

「性格なんだろ。あんま驚いたりしないっつーか。自分の思ってること抑えてるとこもあるしな」
「はは、昨日だったか?屋台じっと見てたぜ、ステラ。何してるのか聞いたら、どうやって作ってるのかと思って、だそうだ」
「ああ、それで今朝は備蓄の材料をじっと眺めてたのか」
「え、何それかわいいオレも見たかったぁ……」

 どうやって作っているのか興味があったんだろ、というグラディオラスに、作ってみたいんだろうな、というイグニス。そういうとこだよ、と笑うノクティスと、悔しがるプロンプト。
 箱入りらしい、外のことに興味がある一面を見て、プロンプトはよかったような、実は事情があって一般人だったりするのかも、という期待を抱いていたそれを打ち砕かれてさみしいような、複雑な気持ちを抱いた。
 もしも万が一、ステラがやむを得ず王族のふりをしている一般人であれば、身分の差がなくなる、とプロンプトは思ったのだ。
 ――当のステラは、ただ作り方を見て盗んで、今後料理を作ることがあればふるまおうと思っていただけなのだが。そんなこと男四人が知るはずもなく。
 

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