承子ちゃんと雨降りの花火大会


「残念でしたね、花火…」

「そうだな…。ギリギリいけるかと思ったが、まさか打ち上げ直前に降り出すとはな」

「承子ちゃん、大丈夫ですか?濡れてないですか?…わたしの我儘に付き合ってくれて、せっかく浴衣まで着て来てくれたのに…」

「すぐに避難したからな、大丈夫だ。然程濡れてねえよ。…それより、なまえこそ濡れるぜ。もっとこっちへ寄りな」

「は、はい。ありがとうございます。…ねえ、承子ちゃん、」

「ん?」

「写真を、一緒に撮ってもいいですか…?」

「写真?今…?」

「はい。承子ちゃんとの思い出をたくさん残したくて、カメラ持って来たんです。…今が、承子ちゃんと一緒にいられる最後の夏だから…」

「なまえ…」

「雨降りの花火大会も、立派な思い出です。だから…だから、9月までにいっぱい、一緒に過ごした思い出…少しでもなにか形に、残させて…っ」

「…分かった。分かったよ、なまえ…」

(アタシだって、一秒でも長く一緒にいたい。…思い出なんかにしたくない)



留学前の夏休み。




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