シーザーにはその音が聞こえた
◇UVERworldの楽曲、「いつか必ず死ぬことを忘れるな」からイメージ。
「なんの音だ…?」
「え?」
サンモリッツで迎えた朝。
柱の男たちが隠れ家としているホテル近くに居るという緊張感が、わたしたち波紋使いの口数を減らしていた。
そんな中、ふと。シーザーが辺りを見回しながら、ぽつりと呟いた。
「聞こえないか?少し遠くからのようだが、サイレンのような…」
「…サイレン?」
耳を澄ましてみても、サイレンのような音など聞こえない。
辺りが騒がしいわけではない。むしろ静かなくらいだ。
あんな耳につく音、彼に聞こえてわたしに聞こえないなどあるだろうか。
『サイレンの音が聞こえるな』
不思議に思っていると、わたしの頭の中でとある日の情景が思い浮かんだ。
シーザーとJOJOの最終試験の日、メッシーナさんが言っていた。
今のシーザーと同じように、何処か遠くから聞こえてくるのだと。
外は白い雪が積もっていて寒い。が、その外気的な寒さとはまったく別の寒気が背中を駆け上がる。
「…聞こえない」
「なまえ?」
「シーザー、サイレンの音なんて聞こえないよ」
言い聞かせるようなわたしの口調に不思議そうな表情を浮かべる彼。
彼の耳を塞げば、その音は聞こえなくなるのだろうか。
その音を聞かなければ…何かが変わるのだろうか。
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