2023/04/08
転びはしないもののよく何もないところで躓くから男女問わず近くにいるクラスメイトに支えられたりする。一番多く支えてくれるのは一緒にいることが多い同じクラスの女子達。他にも障子や尾白、あとは瀬呂なんかも頻繁に助けてくれる。高確率で躓くからほとんどの人が一回はその子が倒れそうになるのを阻止してるんだけど、爆豪だけは居合わせたことがなく。
たまたま自主練終わりが爆豪、切島と重なり三人で訓練場から寮へ戻る途中。隣を歩く切島と他愛もない話をし、その奥にいる爆豪はただ無言で歩いていると、突然切島が大声を出すから何かと思えば訓練場に忘れ物をしたみたいで「先に行ってくれ!」と声をかけて走っていっちゃうから爆豪と二人きりになる。
あまり話したことないし意外と爆豪って喋らないんだよなって何か話せる共通の話題を頭の中で探していたら、そっちに集中しちゃって何もないところで躓き上体が前に傾き、転ばないよう一歩足を出そうとした時、隣から腕が伸びて来て体を支えられた。片腕で。お腹周りに鍛えられた腕が回され支えるため自分の方へ体を引き寄せる爆豪に「ごめん」と素直に謝罪すれば、直ぐに手を離される。そのまま何も言わずスタスタ歩いて行ってしまう。
その後ろ姿を眺め、何故か急に早く動き出した心臓に手を当てた。他の人に同じことされても何も起きないのにって、もしかして私爆豪のこと嫌いなの?触られたのが気持ち悪くて動悸?なんて思うも、学年上がっても爆豪にだけドキドキするからこれは恋してるのかもしれないってちゃんと正解を自分で導き出せるんだけど、気づいたところで向こうの辞書に恋愛なんてものは無さそうだから想いを伝えず卒業することになる。
卒業後もお互い同じ職業だから関わりはあるけど、特に話すわけもなくテレビや仕事の時に顔が見れたらハッピーだなって思ってたら同じ現場になった。
また何もないところで躓き一歩前に足を出そうとした瞬間、後ろから腰に手を回されそのまま後方へ引っ張られて誰かの胸板が軽く当たったと思いきや耳元で「てめーは毎度飽きねェな」って好きな人の声が聞こえるから体も思考も一時停止する。転びたくて転んでないし、気を付けてるし、昔よりは躓かなくなったし、私が一番躓くことに飽きたいんだわって可愛くない返事をするはずだったのに口から出たのは「……爆豪のこと好きなんだけど」で。
どうしてこんなこと言ってしまったのか考える余裕なんてなく。両手で自身の顔を覆い、蚊の鳴くような声で放たれた告白に今度は「は?」と間の抜けた声が鼓膜を揺らした。いや、分かってる、爆豪の辞書に恋愛がないことはとうの昔から分かってる。って直ぐ後ろにある顔を見るのが怖くて確認しないままその場を離れようと私の体を支えるため回されていた腕を解き、逃げようとした時。視界の端に向こうの顔が映り、また時が止まったかのように停止する。「爆豪、顔真っ赤」
mha