memo

さらにつぶやき



2024/01/13

クロのことが好きな年下幼馴染と研磨の話

クロのことが好きな研磨の二つ下の女の子。クロが引越してくる一年くらい前に女の子が先に近所に来たから研磨との方が幼馴染歴が一年長い。家が近いからって理由と近くに同世代の女の子がいないって理由で、年上の幼馴染二人と遊ぶことが多かった。
三つ学年が上であるクロは同学年の男子より大人に見えて、優しくて関わっていくうちにあっという間に好きになる。けど学生時の三個さは大きいもので、好きな人であるクロは自分のことを近所の妹としてしか見てくれないし、やっと高学年に上がれたと思ったら向こうは中学生、中学に入学する時には既にあっちは高校生。どんなに大きくなっても年齢の距離は縮まらないし、中学からなんて学年が被らないから学校では会えなくて。学校で会おうとしたら、クロと自分が同じ大学いかなきゃ叶わない。
どんなにアピールしても効果はないし、女として見てもらえない、そんな悩みを好きになった小学生の頃からずっともう一人の幼馴染にし続ける。

好きになった直後、研磨には相談した。「わたし、好きな人できたの!」って二個上の幼馴染に伝えれば「へー」とゲームをしながらこっちを見向きもしないで興味ない返事がくる。「興味持ってよ!」「えー……」「誰かとか聞いてよ!」「おれが聞いてもナマエの友達知らないし」「研磨も知ってる人だもん!」とまで言えば察しの良い小学生研磨は手をピクッと止めて、眉間に皺を寄せた。まるでめんどくさ……とでもいいたげな。「あ、研磨じゃないよ?」「知ってる」そんなやりとりをした後から音駒生になってもずーっとクロの話を永遠にし続ける。

研磨とは中学、高校と一年だけ同じ学校に入れるからっていうのもあり、一緒にいる時間は好きな方の幼馴染より長い。「そんな好きなら早く告れば」みたいなことを何回も言われてきたけどその度、絶対振られるし、そしたら今のままがいいし……で関係を進展させようとしなかった。クロは高校の時、結構女子から好かれてはいたけど部活一筋で彼女を作らなかったのか出来なかったのかはわからないけど、ずっと彼女がいなくて卒業して大学生になった今「そのうちクロに彼女とか出来ても知らないよ」とまで研磨に言われるんだけど、「……そしたら、仕方ない」って関係が崩れることの方が嫌だからと伝えたら、ため息を吐かれる。

そんな中、三年になった研磨が告白されている現場に遭遇しちゃう。隠れながら盗み見し、告られたりするんだって失礼なことを考えていると、直ぐに盗み見がバレて相手の人がいなくなったと同時に冷たい目を向けられるんだけど、なんて返事したのかここからじゃ聞こえなかったから聞きたくなっちゃう。けど、なかなか聞けない。凄く気になるし、しかもあの人と付き合ったらどうしようとか、兄妹みたいな感じだから寂しくて心がモヤモヤしてくるのか、理解できない感情に首を傾げていれば「付き合ってないから」って向こうから教えてくれて。こういうとこあるんだ、って。言わなくても察して、欲しい言葉をくれる。昔からずっとそうだし、そういうところも好き。って思ってから、ちょこちょこ研磨に対してドキッてしちゃうことがあって、(どうしてなんだろう?)(私はクロが好きなのに)って自分の中で葛藤しているうちに月日が経っていく。

そして、研磨があと少しで卒業する月になる時、他校の人から告白を受けた。良い人だけど付き合いたいとは思わなくてお断りするんだけど、断ってもしつこく何回もされ、終いには家まで付いて来こられて、流石にビックリしたし、怖いと思って強めに色んな言葉を相手に飛ばしてしまうと、それに向こうもカッとなったのか手をあげてきた。すると、家の近くだったからかたまたま通りかかった研磨が男の腕を掴んで止めてくれる。
そこから「これ、妹だから」「あと少ししたらこの子の凄い番犬みたいなの来るけど、大丈夫?」「しかもここ警察の人とかよく通るよ」とか上手いこと色々言ってくれて帰ってもらえた。怒られるって思いながら、ごめんなさい……と謝罪をすれば、呆れたようにこっちを見下ろされるんだけど、見る目は温かくて優しい。また思い切り心臓が飛び跳ねて、まだ理由が分からないこの現象に首を傾げて胸に手を抑えながら「番犬ってクロ……?」と聞けば「適当に言った」と言って頭をポンポンしてくれたら、急に顔が赤くなる。目も合わせられない。クロの名前が出てきたのに前みたいにドキドキしないから余計混乱する。
幼馴染にこんなところ見られちゃって恥ずかしいから?それとも迷惑かけたから?自分が不甲斐ないから?って赤くなる原因を探するだけど、見当たらなくてゆっくり視線を上げて研磨の顔を見れば、なんともない表情で「一緒にゲームする?」と聞いてくれる。頷けば、ふいっと顔を逸らされ、後ろを付いていき部屋に暫く居させてもらうんだけど、ドキドキが止まらなくて。なんかクロを好きになった時と似てるようで似てないような気がして、おかしいおかしいと何度も考えながら研磨の顔を見て答えを出そうとするんだけど、数秒しか見れない。
チラチラ自分の方を見られるのが嫌だったのか、「なに」と少しムスッとしながら言われたら自然と自分でもまだ知らなかった感情が口から零れ落ちた。「研磨のこと好きになったかも」「………………は?」という幼馴染の間抜けな声と面に、言った意味を理解した自分も「は?」ってなる。声に出して、言葉にして初めて今までの研磨に対しての胸の高鳴りや不思議に思っていた感情が心にすーっと溶け込んで「好き」って想いが確信に変わり、さっきの曖昧な声色ではなくしっかりとした声で伝えた。「……研磨のこと好きになっちゃっ」「やめて」「好」「やめて」と、こっちを見て素早く返事をする幼馴染は「クロは」と聞いてくるから「クロも好きだけど」と答えれば、思いっきり顔を顰められる。
そりゃあそうだけども。クロへの想いはもちろん勘違いなんてことは絶対になくて、ちゃんと好き"だった"。でも今は初恋のまま自分の中で素敵な思い出になったような気がして。そう思うのがしっくりくる気がしたんだけど、素直に口に出して言ったら「調子いい」って言われてしまいそうだと思って黙ると二人の間に沈黙が流れる。
気まずく何も発せないけど、じっと真剣な眼差しで見つめれば、本気だと感じ取ってくれた研磨がため息混じりに、なんでそうなったの……と零しながら「今の関係崩したくないんじゃないの」って聞いてくる。ああ、振られるのかぁって思いつつも、何故か研磨には振られて今の幼馴染の関係が崩れるよりも、何もせず幼馴染のまま研磨が他の女の人と付き合うことの方がが嫌だったから、そのまま伝えれば、また難しい顔をされる。
「……いつから」「! 気づいたのはさっき!多分結構前から好きになってたかも!」「……」「っでも!振ってくれて構わないから!でも遊んでね!」わがままかな、と続ければじぃっと見つめていた猫目を逸らし「今更」って返事をくれて、やっぱり好きなんだって再確認しちゃう。「私、研磨に好きって思われるように頑張るから!わがままもう一個増えてもいいよね……?」って両腕掴んで訴えれば「それ一個じゃ終わらないでしょ。まあ、いいけど」って言われ、そこから数年後家族みたいなカップルが誕生する。


「まさか二人が付き合うとはなあ〜」「ナマエはずっとクロが好きだったからね」「…………は?」「え!気づいてなかったの!?小学生の頃からずっと好きだったよ!?あれ?とも思わなかった!?」「あれ?って思った時点でクロは多分気付く」「そっか〜!」「ちょちょちょちょっ!まてまてまて!付いていけてない。俺だけついていけてない」って研磨の家でお酒飲みながら話す夜もあったりして。終わり。

孤爪研磨