今日も素敵

「団長ぉぉぉお!」


私の日課は朝、目が覚めると団長に会いに行くこと。そして朝の挨拶をします。

「団長、おはようございます!今日も一段と格好良くて素敵ですっ!」

これが私から団長への挨拶。団長から私の挨拶は、

ドコォォォン


壁を壊す。
これが団長からの挨拶。

「なんて男らしい挨拶の仕方」

口で交わすのでは無く、体を使ってなんて…
そんな事を考えていると後ろから誰かがやって来た。

「この、すっとこどっこい!お前さんが勝手に団長の部屋に入るからだろ」
「あ、阿伏兎さん。おはようございます。
でも毎日の事だし私が起こしに行かないと団長起きないでしょう?」

私がそう問うと阿伏兎さんは呆れ顔で「起きるけどなぁ、毎回どこか壊されるのは勘弁してくれ。直すこっちの身にもなってくれよ」と言い溜め息をついた。

「これはね、団長の愛情表現なんですよ。今日は見逃して下さい」

団長は意外とお茶目な所がまた可愛いです。いつもは格好良くて男らしい団長も時には可愛いこともあります。そこが何とも言えない。

「おい、人の話を聞け」
「…あ、」

やばっ!また人の話しを聞かないで団長の事を考えてた。
これはもしかして阿伏兎さんの長い説教が始まる?
阿状兎さんの説教はとにかく長い。長いだけじゃなくて同じ事を繰り返して話す。まるで時間が巻き戻しされているみたい。お得意のすっとこどっこい、は一回の説教で100回くらい言う。
あ、いや…100回は言い過ぎた。30回くらいだろう。

この間、団長の事を考えていて任務の内容を聞き逃してしまった事があった。そして間違えた場所に行き、敵と仲良くなっちゃったんだ。その人は飢え死にしそうな私に飴をくれた。食べ物をくれる人に悪い人はいないと確信した私はその人が敵だと分かったら、素早く逃がした。しかしその敵は焦り過ぎて途中逃げてる時に足を滑らせ川に流され行方不明。どこかで生きてるといいな。そういえばあの人がくれた飴はレモン味だったことは今でも忘れない。

その出来事で私は阿伏兎さんに説教された。その時にすっとこどっこい、を言った回数を数えたら28回だった。口癖みたいなものは凄いと思いました。
あ、でもこの間のと「話しがなげぇよ!」
ついには私の頭の中に阿伏兎さんが話してきた。

「あれ?口に出てた?」
「思いっきりでてたぞ、このすっとこどっこい!」

あ、また言った。すっとこどっこいって…

「お前さんの話しが長くて、団長寝ちゃったじゃねぇか」
「え?二度寝?」

団長の方に視線を向けるとスヤスヤと気持ち良さそうに寝ている。何あの顔。可愛いすぎるっ!
起こしたくないけど、起きた団長も早く見たい。そう思い私は決断した。団長の上に馬乗りして、

「団長!起きてください。目を開けて下さい。そしたら目の前に団長の未来の奥様が見れますよ。今しか無いですよ、こんなこと。今限定です」

と言ったものの、起きる気配は全くない。

「団長、そんな可愛い寝顔してたら襲いますよ」

と本気で言ったら今まで寝てた人とは思えないくらいに目をパッチリと開け、
「いいね。俺もお前を一回殺ってみたかったんだ」

悪くないお誘いだね。と綺麗な笑顔で馬乗りしていた私に殴り掛かろうとした。が、自分から私に近づいてくる団長は初めてなので受けとめようとしたら避けられてしまった。

「えぇ!団長避けないで下さいよ」
「逃げるかしないと面白くないよ」

ニコリと笑うその顔がいつにもまして美しく、思わず、団長!大好きです!!と言ってしまう。