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ロッキンホース32話
確認したら3ヶ月ぶりの更新でした_:(´ཀ`」 ∠):

いや本当に書く気だけはあって、個展編にパーティメンバーが来る話を練ってたんですがもうマリアで個展に関しては書き切ってしまっていて菜々子ちゃん出すか〜!?とか迷走してしまい…。
素直に完二くん編に入ろうと決めたらサラサラ書けました。後半部分の戦闘描写は昔の拍手をちょっと再利用しました。

以下悩みに悩んだ個展編の供養
▽ ▽ ▽ ▽


5月5日

小学生に入ったばかりの幼い子も、実家の画塾に在籍している。けれど私が学校から帰る頃には大抵の子はもう帰ってしまっている。

だから私の拳に包まれる、小さな子供特有の温かさに少しばかり緊張をしている。

「菜々子ちゃんってお人形好き?」
「うん!ミカちゃん、菜々子好き!」
「ミカちゃん?私、今もミカちゃんのお洋服作ったりするよ!」

鳴上くんの従兄妹である(つまりはあの堂島さんの娘さんでもある)菜々子ちゃんはクールな彼と違って素直でふんわりとした愛らしさがある。

個展の片付けを手伝ってくれるといういつものメンバー達の集合時間より大分早めに訪れた鳴上くんと初めて会う菜々子ちゃんには当初驚いたけれど、この出会いには感謝しかない。

お手製のドレスを着たミカちゃんの写真は携帯に数枚収めていたので見せると菜々子ちゃんは喜んでくれた。わあ、と顔を綻ばせる菜々子ちゃんはまるでピンク色の小さな薔薇だ。愛らしい。

今度一緒にドレスを作ろうと菜々子ちゃんと小指を結んで約束をした。本当にミカちゃん、好きなんだろうなあ。

「…私のお人形、ミカちゃんと違って怖くないかな?」

思わず、ぽつりと呟いてしまったがこんな事、聞かれても困るだろう。
ミカちゃんの年齢問わず愛される、デフォルメされた美しさと比べることの愚かしさ位私にだって分かる。

「ううん。怖くないよ、みんな、みやびお姉ちゃんみたいにニコニコ笑ってるもん」
「菜々子ちゃんには…そう見えるんだ」

普段は何を考えているか分からないとか、冷たいところが良いと言われがちな私のお人形をそう言ってくれたのは菜々子ちゃんが初めてだった。不意に鼻の奥がツンと痛くなる。
顔を見られるのが恥ずかしくて空いている右手で顔を覆うと菜々子ちゃんは驚いたようだった。

「ご、ごめんね?菜々子こういうお人形見るの初めてで間違ってたかな?」
「ううん、そう言ってくれたのが嬉しくて…。そうだよね、人によって感想は変わるんだよね。菜々子ちゃんありがとう」

当たり前のことなのに、いつの間にか忘れてしまっていた。勝手に『自分らしさ』を決めて自ら息苦しくしていたのだ。創作に決まりなんてないのに。

「ねぇ、菜々子ちゃん、また私と遊んでくれる?」
「うん!菜々子もね、みやびお姉ちゃんみたいなお人形作りたい!だから今度おしえてね!ミカちゃんのドレスもぜったい!」
「うん。ありがとう、約束する」

ふんわりと笑う菜々子ちゃんは天使そのものだった。可愛すぎて思わずいちご色のほっぺを触ると「くすぐったいよ」と笑われた。…かわいい。すっごくかわいいな?




「…日高、菜々子の事見てくれてありがとう」
「ううん!?な、鳴上くん!?堂島さんに忘れ物渡せた?」

夢中で菜々子ちゃんのほっぺを触っているところを鳴上くんに見られたのが気恥ずかしくて、手をサッと隠すと鳴上くんが小さく吹き出した。

「渡せた。菜々子もいきなり初めて会う人と2人きりにしてごめん」
「ううん!みやびお姉ちゃん、だいすき」
「…っ!菜々子ちゃあん…!!」
「その表情、花村もしてた」

耐えきれなかったのか、鳴上くんは今まで見せた事ない表情を浮かべ声を上げて笑った。
その所為で私の緩んでいた頬は自然と引き締まったが、それもツボに入ったのか鳴上くんは逆に笑うばかりだ。

「みやびお姉ちゃんも、陽介お兄ちゃんしってるの?」
「知ってるも何も仲良しだもんな」
「ええっ!?それって、もしかして恋人ってこと!?」

どうやら菜々子ちゃんによってタジタジになる私が笑いのツボらしい鳴上くんが発破をかける。
それ頭では理解しているのに、菜々子ちゃんを無下に出来ない私はキラキラのおめめを前に、思わず「うん」と頷いてしまった。

ああっ、とんでもない嘘だ!…やってしまった。物凄い勢いで血の気が引いていくのを感じる。
でも菜々子ちゃんの夢を壊したくないし、でも嘘吐きとばれた時の反応を想像したら死にたくなるぞ。

「それって素敵なことだねぇ」
「っ…菜々子ちゃん…!!実は」
「陽介お兄ちゃんがみやびお姉ちゃんの王子様かぁ。愛し合ってるって、すごい!」

こうなれば嘘を本当にするしかない…!

菜々子ちゃんのとろけそうな笑顔に、訂正を入れようとしたらしい鳴上くんも躊躇ったのかピタリと動きを止める。

(菜々子の前ではそういう事にしておこう)と鳴上くんから目だけで語りかけられ、おずおずと頷くしかなかった。


* * *


無事に3日間の個展が終了した。

正直、個展を開いた事よりも、開くまでに起きた事件の方が自分を大きく変えたと思うけれど、それでもやって良かった。

マリアさんとまた学校で話せるのが楽しみだし、「美術友達だよ」と皆に紹介したい。

それに中々実物の人形を見せる機会は無かったから、皆に見てもらえて良かった。
特に雪子ちゃんと千枝ちゃんが目をキラキラさせながら感嘆のため息を吐いてくれたのが少しだけ誇らしかった。

例の3体の人形を見ると、皆は私の顔をちらりと覗き込んでからニコリと笑った。言葉は無くとも気持ちは伝わる。気恥ずかしいけれど。


「みんな、お疲れ様。配送用の梱包も終わったし後は撤収だけだよ」
「みやびちゃんこそお疲れ様!」
「また私達で良かったら手伝うからね」


「ここ18時までだよな?親御さんの車にこの残りの荷物載せちゃっていいかー?」
「うんー!ありがとう。手ぶらな人はもう教室向かっちゃって!御馳走用意してるから」

カテゴリ:アトラス
2020/03/23 23:27


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