▽2019/03/07(00:36)
「アーラシュ、あそこにひとと舟が。岸まで運んでくれるかも」「あー…あれは駄目だぜ、立香」「?」「水先人じゃなかった?君にとって良くない人物にみえた?」「そういうわけじゃないが」「…立香は疲れているの。早く渡って休ませてあげたい」「わかってる。休めるっちゃ休めるンだろうけどなぁ…あの水先人はやめておけ」
「マスター、今宵は何も食べてくれるなよ」と春菊にカマンガーはいい、なにをいっているんだと思いながらもなんとなく嫌な予感がしてお菓子を机に締まって彼女は就寝する。その日みた夢はまるで楽園のようだった。春菊はよくしなった弓のような舟に乗っていた。水浸した道をぼんやりとくだっていると、春菊はギリシャ神殿を思わせる白亜の城に辿りつく。澄んだ水がさらさらと滝のように天井から流れていた。太い柱のその向こう、大理石のテーブルには、まばゆいばかりの料理が置かれているのがみえる。春菊を連れていた水先案内人が、さあどうぞといわんばかりに手を差し出した。春菊が目覚めると、どういうわけか平然と己の部屋にいるカマンガーがこちらをじっとみおろしていた。彼は唖然とする春菊の前で、「いうことがきけて偉いな」と薄暗く微笑んだ。
水先人