銀杏
詩人が語る鎮魂歌
厳かな格式の道案内
しっとりささやく長寿の秘訣
黄檗文字の羅列
匂わす黄葉を知った君
燃えそびえたは永遠に生きる証
銀杏の心は永久に
芙蓉
優々まとめた挿頭花
謀り琴は緻密に練り上げ
手弱女ぶりな情女
花顔を浮かべた律の風
まぼろし一夜の佳人は雲散
末枯れ姿も一興のうちと花客が告げる
月夜で咲き誇る芙蓉の如く
桔梗
待っていてくれとの一葉
胸に刻んだあの日の夕凪
戻るは友愛か恋愛か
どちらにせよ永遠の誓い
玲瓏に響く玉の音よ
あの人が帰るのを永久に待ちますので
待ちぼうけの桔梗
秋桜
あの秋が告げた希望
移ろわないと決めた空
乙女の純情をばかにして
純粋、無念なこの約束
優美に靡かすその誉れ
謙虚でいようと決めた心とあの日
秋桜のように美しく
彼岸花
情愛向けるあのちらみ
思うはひとりと言ったでしょう
悲しき記憶に浸らせよ
彼岸の先で待ちあわせ
奏でる追想歌は事切れて
諦めが悪いのよと微笑む少女
君の瞳にのぞく彼岸花
紫苑
忘れるものかと涙のように
鴇が啼くほどうつろな幻
見上げた空の無数の雲海
悲嘆な記憶はかすかに消えて
現に浮かべる筏舟
あの涙は何だったのでしょうと小鳥が告げた
紫苑の雫がぽたりと落ちました
金木犀
惑美が誘う花の宴
漂う薫陶にほろろと酔い星
後朝の別れの冷や飯
同朋と盃を交わした夜秋
謙虚に誓ったあの日の口約束
もう振り返ることのない昔の噺
訪れを知らせる金木犀
菊
甘い夢をみていました
いつか追い越せるのだと
夢が叶うその未来
高潔な心を胸に閉じ込めた覚悟
血潮を犠牲に散った花首
そんな人に鈴を捧げたのがばかだった
美味な菊酒つくりましょう
鳥兜
狡猾な番犬が牙を剥いて
人嫌いなのだと噂が道々
仇をとるなら犬を射よ
詩歌が紡ぐ厭世のことわり
骸と成り果て破顔する
これが誓約なのだと騎士は毒を飲み干した
鳥兜に潜む情愛
萩
あれやこれやと数多の草木
思案するのは手遅れか
柔らかに笑む言霊
繰り出される思考の導線
ひかえめな誓詞と漁火
月の船出と生きましょう
萩のささやきで知る
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