黄梅

乙女の雫が花となる夜
佳夕に乱れる恵み雨
うつむく眼差し頬染めて
雪白に届く優美な声色
告げる寒春の訪れ
思う長年月、わたしはいつでも傍にいる
違わぬ黄梅の誓い

椿

褒めそやされた姫御前
楚々と佇む白紅姿
隠しきれない美徳に閉月
控えめで、愛らしく、たおやかに、
あなたに捧げた生きた証
小さく頷き、最期はぽとりと落ちまする
色褪せることのない椿の想い

金のなる木

管を巻き巻き縛り付け
我が儘、気儘に、あたり草
一攫千金興味なし
君が傍にいることは当たり前でしょ
富も名誉もいりはしない
仕方ない、君の願いを一つだけ叶えよう
金のなる木に託された一つの約束

山茶花

尼顔の見比べ
わらい顔に見惚れる旅人
望みは日和に離れない
まっすぐ見つめた火照る横顔
ひたむきにむさぼる冬事情
一番美しい、どれだけ歳月を重ねてもきっと
一つだけの山茶花

石蕗

地に這いつく苦虫
刃で困難に打ち勝った過去
如きでそれを捨てた日に
蘇れあの日の絵空事
謙譲の悟りを忘れるな
覚えていなくても、何度でも打つ月夜の鎹
雪にとけた石蕗たち

南天

紅福を手にしたあの日
笑む明日を夢見た寒冬
些末ごとも機知で切り捨て
募る福富を抑えきれず
升から溢れる酒の祝い
幼き頃に絡めた指を覚えていたとは露知らず
南天は大志を抱く

近づく色香に誘われて
触れてしまえば仏様
鋭利な棘は抜けず
満月みたく欠けない猜疑心
ため息一月損はなし
そろりと丸く寄った君に昔の傷はもう見えず
柊に永久の安らぎを

福寿草

新たな門出に乾杯
永久の幸せを告げる冬霞
手のひらにのせた萎れ花
知っているのは幸福な気立て
想いを犠牲に叶えた夢路
君にあげられるのは一体何なのでしょうね
福寿草をくれた心が嬉しかった

水仙

詩人がつむぐ理
うぬぼれながら覗く神秘
ささやく睦言の耳飾り
愛せるのは己だけ
それは報われぬ恋だと知ってるの
他人からみれば笑いばなし
ある日の水仙物語

葉牡丹

冬明空の祝い飾り
包まれた愛に身を寄せて
利益勘定なんて二の次よ
動じない影の朝宵
渦巻く祝福の嵐と破顔
今年もいい年になりますようにと願う月
吉兆を呼ぶ葉牡丹
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