きみが月を齧った夜のこと

ふるえた指先に蓋
ありえないと嘯いた夜
引き返せない野原を駆け回る

ふわふわのクリームを底に埋めて
メレンゲのとけた泡を包む
破り捨てた沈黙の言葉

星をとってと願った勇気
白雪とよくにた子猫
あなたの言うことなんて知らないわ

きっと聞き間違い、言い間違い
少しのミルクと少しの毒薬
首に残った爪紅

あつあつの鍋とクルトンを一つ
白煙がたゆたう窓辺
ハンモックがゆらゆら揺れた

編みかけの毛糸に傾けた本
無造作に嘆くルージュ
遊牧民は夢を見ない

気分はここにあると知っているから
昨日の夢のはなし
鼻を赤に染め上げて

は美味しそうだねと叫んだ君にほんの少しのご褒美をあげる。
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