孤独を悼むの如く

薄桜あの日に散った薄桜に色づく初恋をこの世界が終わるまで忘れることはないだろう

勿忘草花びらのように舞い落ちた涙に祈りを捧げる勿忘草に似た気まぐれの物語

深紅真実の愛を抱いて身を投げ出したくなるような深紅に染められた心臓と鼓動

瑠璃追いかけてきた瑠璃のような純真はありがとうも言えずに幸せだったと微笑みながら息絶える

塗りつぶされた哀願は恋い焦がれたまま墨のように燃え尽きて一生こびりついて離れない

卯の花優しげな光が溶けるみたいに首筋を甘噛みした直後に卯の花がささやいた神の誓い

向日葵どんな罪も包み込んでくれるような向日葵に似た少女に抱く孤独を押し殺して苦笑いした夢

翡翠待ち望んでいた魅惑の微笑みと最初で最後の指切りの約束は翡翠のように永遠と輝き続ける

沈黙の愛を見事に染めあげて胸の奥に打ち込まれた淡く鈍に煌めいた魂の行く先を見届けたかった

蒲公英芽吹く微笑みは色鮮やかに蒲公英の指輪を型どって過去の記憶の中へと沈んで落ちた

紺碧貴方の星が空に浮かんだ頃を見計らって紺碧の美しい海へ一緒に潜みましょうか

虹が語る幸福論はいつか色褪せない記憶となってあの朝日が昇る方向へ歩いていくのだろう

萌葱誇りと名誉を捧げたあの日から萌葱の花束のような優しい声音が心に住み着いて離れない

京紫丹念に織り上げた京紫の幸せに安らぎを求めて追いかけ続けることを許して頂けますか

胡桃必ずやって来る希望を胸に秘めて決して割れることのない胡桃をそっと地平線に置いてみた

月白あやふやな月白の運命は雪のようにはらはらと舞い降りて誰にも知られずにそっと死んでいくのだろうか

真朱思いやりにあふれた静かな情熱は周りに気づかせることなく真朱に色づいてやがて抱えきれずに破滅する

藍鉄あの過去からすべてを捧げた無言の愛情は藍鉄で傷つけられた幼気な心をきっと癒やしてくれるはず

女郎花己の考えた究極の美学の果てにみるものとは無邪気な女郎花が一面に飾り付けられた世界である

海松茶また会う日を無防備に楽しみにしていた海松茶の瞳の客人が音沙汰なくなってから約何年になるだろうか

紅梅夜に輝く静謐な香りを纏わせて艶やかなる紅梅は変わらず永遠に美しさを誇り続けて欲しいと願う

花緑青いつまでも当然のように永久を願う人たちに残酷な花緑青のとけない呪いは優しげに首を絞めていく

漆黒漆黒に眠る月の獣たちが導き出した完璧だと思った答えはとても単純でどこか隠しきれない不器用な愛の形

韓紅拒むことのない情愛は不自然に絡まり続けてやがて韓紅に染まった夕暮れを背景に沈没する

浅縹いつも孤独で移ろいやすい浅縹の心は待ち続けても定まることなく歴史の海へと飲み込まれていく

ひらひらと散っていった思い出の中に佇み続ける桜の似合う乙女にまた逢いたいと思ってしまう季節

珊瑚甘くほのかに光りながら揺らめいた珊瑚の海に身を沈めてただ緩やかに生きていきたい

若菜瑞々しい若菜の子どもたちの頬をそっと撫でてその幸せそうな姿に目を細めて紡ぐ春の物語

蘇芳くすんだ蘇芳に対して真剣に心を込めて包んだものはたった一つ残された信頼の証だった

紫苑風に吹かれてそよぐ紫苑の面影とあの夜に隠しきれなかった愛情を重ね合わせて自嘲した


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