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もしも蒼に呆れられたら、もう友達でもいたくないと思われたら本気で死ぬ。次の日にはあいつは変態だみたいな目で見られて不登校になってひきこもるんだ。
うああと自分の妄想がどんどんどんどん自分の中で拡大していって、最後まで想像したらもう死ぬしかなかった。


死因:友達に看病されて勃起したこと


情けない理由だけど、それほどおれにとっては一大事だったのだ。


「……かわいい」


嗚咽を漏らしていると、何故かそんな言葉が聞こえて。

聞き間違えだろうと震える声で「……へ?」と聞き返してみれば、抱きしめた枕ごとぎゅっと抱きしめられた。


「…あおい?」


そのおれを包む体温と、顔に触れる蒼の黒髪に混乱して顔を枕から上げると、ふ、と吐息を零す気配とともにちゅ、と額に口づけられる。
顔を上げた瞬間に、涙がぽろりと顎を伝って布団に染みを作った。

一瞬、そのやわらかな感触に何が起こったのかと硬直して、呆然としながらそこに触れてみた。


「…へ、」


全く予想していた反応と正反対で、え、えっとつまり蒼はどう思ってるんだと呆気にとられる。

(なんで、この状況で”かわいい”…?)


可愛いって、確か、愛くるしいものを示す意味だったような…。
その単語の意味と、今起こっている状況が頭の中で繋がらない。
彼はその表情をいつも以上にふわりと緩ませて、「やばい。俺も勃ってきちゃった」と言って照れたように頬を染めて笑うから。


「……」


絶句した。

………もう、脳が状況についていけていなかった。


「……え?…勃った……?」


勃ったって、…その、…言葉の意味のままであってる…よな…?


(………なんでこの状況で蒼まで勃つんだろう。)


だめだ。
熱で侵された脳はうまく働かない。

手が頬に優しく触れる。


「さっきからずっと思ってたけど、…まーくんは誘ってるとしか思えない。絶対これは誰が見てもそう思う」

「…え、」


一瞬反応が遅れたけど、「ちが、」どうしてそうなるんだ違うと声を上げようとすれば、綺麗な微笑みを浮かべる。
その瞳の奥に、明らかな欲情の色があった。
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