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なのに、

どうして人殺しなんかして、しかも今、俺に、なんでと問う暇もなく唇を塞がれ、唾液の交換を繰り返し、結合部をぴったりと重ね合って熱く汗にまみれた肌を擦りつけあう。


「はは、」

「っん゛ぅっ、」

「"俺じゃなくても、良いだろ"って…?」

「…っ、は…ッ、ぁ」


(なんで、俺は知らない男に…こんな…)

バックから、横向きから、ありとあらゆる体位で、俺が何度床に崩れ落ちても身体を抱き寄せられ、再び体内を荒らされる。
絶倫なのか肚の中のモノは全く萎える気配がなかった。


「…良くないに決まってるだろ」


平坦だった声音が、少しだけ変わる。


「俺はね、捕まってもいいんだよ」

「…え、」

「君の家族を殺した犯罪者として刑務所に入れられても、それで死刑になっても構わない」

「…っ、」

「今、こうしてまた傍にいられて…幸せだから」

「…っ゛ぃ」


それに、君は殺さないって言ったの忘れた?とがぶりと耳の縁を噛まれ、ぺろりとじんじんする場所に舌が這った。


「…甘くて、苦い。懐かしい味がする」

「…っ、ふ、ん…っ」


腰の動きが緩やかになる。
結合部でキスを繰り返すように、優しく肛門を質量のある性器でなぞられる。

その切れ長の瞳が、ふわ、と温かく…何故か苦しげな色を宿して細められた。


「…愛してるんだ」

「…っ、」

「愛してる。他の誰よりも、…愛してる」

「…んっ、ぅ」


確かに男のいう通り、俗に言う恋人みたいな行為を時間感覚が狂いそうなほどに行っている。

ドラマでよく見る恋人たちの如く、指を絡め、身体を重ね、俺をその瞳に映して、酷く嬉しそうに笑う。


「…だから、…君じゃなきゃ、ダメなんだ」


その双眸が一瞬だけ、潤んだように見えた。
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