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「…俺って、尻軽だと思う?」
「はぁ?」
カフェオレをストローで吸いながら投げた言葉に、友人が目を見開いた。
「え、何で?伊藤のことすげー大事にしてんじゃん」
「んー、と、思う、んだけど…」
「前も一生懸命デートプラン考えて、二人でピースしてる写真まで送ってきただろ。お前で尻軽だったら、他どうよって話」
俺の恋人が男だと唯一知っている人間であり、良き相談相手。
…なんだが、今の返事は効いた。主に俺の心臓にモロダメージを食らわしてきた。
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目が、覚める。
肌に触れるシーツのような感触と、背中に回されている腕。
「おはよ。智」
「…っ、」
裸のままにこりと笑って見上げてくるのは、俺の恋人ではない。
下半身に残る甘さと疲労感。昨日の快楽。快感。感触。
――――完全に、事後だ。
(…また、やっちまった…)
頭痛を覚え、額に手を当てる。頭を抱えたい。
どうしてこうも性の欲求に抗えないんだろうと思う。
だめだとわかっているのに、首に腕を回され下腹部に触れられ、キスをされてしまえば…もうそこからは言うまでもない。
別にこの目の前の人間に愛情が芽生えたからでもない。
…結局、気持ち良いことがしたかっただけだ。あの瞬間、何でもいいから快感を味わいたくて、それができるのであれば誰でも良かった。
「…あー…、また、」
最低だ。
酷く嫌悪している。こんな自分を心底嫌悪しているのに、いざとなるとどうにも本能に従ってしまう。
『智、大好きだよ』
脳裏に浮かぶ朝陽の笑顔に…ずっと避けていた未来を考え、泣きそうになった。