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……言うのをやめないとって、自分では思ってても…しゃべる口が止まらなかった。

罪悪感からか、自己嫌悪からか、できるだけ暗くならないような声音で文句を言いながら、身体ごとさっくんと反対の方を向く。


「…やっと教室に来たと思えば、これ見よがしにみんなの前で頭なんか撫でちゃって、体育の時は駆けつけてきて抱っこまでして、大切にしてて、」


保健室で、『俺がここにいたいと思ったからです』って言ったさっくんの優しい笑顔が頭から離れない。

ベッドで休んでる桃井の傍から離れないように、本来しないはずだった仕事をしていた。

オレが知らない、保健室での二人の時間。

『可愛い』なんてそれこそ女が喜びそうな言葉を、桃井にはもっとたくさん言ってたんだろう。

……それこそ、恋人みたいに。

(…桃井がさっくんに触れて、それに応えるようにさっくんが桃井に向ける笑顔は自然で、演技じゃないように見えた)


これは、きっと思い込みじゃない。被害妄想でもない。
客観的な事実だ。
他の人に聞いても、否定できる人はいないだろう。

考えたくないけど、…時々、ほんとに時々だけど、…オレといるさっくんはどっか無理してるように見える時がある。


「…っ、ふん。べつに、オレの執事じゃない間のさっくんのことはオレには全然かんけーないし、誰と何をしてようが気にならないし構わないんだけどな」


強がって、精いっぱい虚勢を張る。
笑ってるふりをして布団を握る指先が、ぎゅうってしがみつくみたいに強くなって、震えていた。

思い出すだけで心臓が苦しくて、唇を噛みしめる。吸った息さえも、微かに震えた。

頭のなかがぐちゃぐちゃで、止まらない。
あ、と今思いついたように口を開く。


「…はは、もしかして、さっくんが泣いてた理由ってさ、」


ぎこちなく笑った頬が、強張る。
言うな、言うなと、耳の奥で警鐘がする。


「…本当は、オレより桃井と一緒にいたくなったからじゃないのか…?」


笑ってるはずなのに、唇が震えている。
身体が、小刻みに不安に染まる。

あんなに元気だったのに、ほとんどの授業を保健室で過ごし、ベッドで休んでいた桃井。
乱れた制服。

いつもと違う、さっくんからする濃いいちごの匂い。
…二人の首についたお揃いのキスマーク。

保健室で感じた違和感が、

”先生は今頃女子に、夏空は僕に、それぞれペニスを挿れて、抜いたり差しこんだりして、ぐちゃぐちゃーってたくさんきもちいーセックスをする”

そう、涼から聞いた言葉が、頭から離れない。
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