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さっくんは、オレを家族として大切に思ってくれている。求めてくれている。

それは、泣きながら抱きしめられたときに、痛いほど伝わってきた。


(…だとしてもあんなに取り乱すなんて大袈裟すぎる気はするけど)


…けど、そうなってるのも、

今まで一緒にいた時間が誰よりも長いからで。

なんていうか、刷り込み…みたいなものなんじゃないだろうか。

産まれてはじめてみたものを親だと思い込む雛のように。

オレが最初に主人だったから、オレ以外を選んじゃいけないと思ってる気がする。


「…(…もし、)」


同じ時間を過去に桃井とさっくんが積み重ねていたとすれば、


……オレじゃなくて先に桃井と会っていれば、

一体、どうなってたんだろう。


「っ、」


さっくんが泣いてた理由。
あれが全部桃井のための涙だったんだと思うと、


(っ、ぃ゛だっ、)


ぎゅううと心臓を握り潰されるような痛みが襲う。

布団を握って、今すぐ逃げ出してしまいたい衝動に唇を噛みしめている

と、…後ろから布擦れの音がする。

…お腹に回された彼の腕によって軽く重みがかかったのと同時に、背中にその体温が触れる。

それから、


「…………っ、」


言葉もなく、ぎゅうっと後ろから抱きしめられた。

むきだしの首筋に息遣いのたびに吐息が触れてきて、小さく震える。

背中だけじゃなく、腰も、脚も…微かな動きさえも伝わってしまいそうなほどに密着する身体。

無意識に、息を潜めてしまう。

表情が見えないから余計にどう思ってるのかわからない。

どきんどきん、って触れてる背中全体に心臓があるみたいに緊張して、身体が強張る。


と、


「…そうですね」

「っ゛、」


静かに、ぽつりと肯定の意味の言葉を零され、呼吸が止まった。

さっくんに抱き竦められたまま、硬直する。
心臓がヒヤッて冷たくなって、手足まで一気に凍えた。
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