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今の一連のオレの動きを見て、戸惑ったような表情を浮かべるさっくんを見上げて、


「…?どうし、…っ、」


気遣うようにかけられた言葉が終わる前に、その首元のネクタイを掴んで引っ張った。

…一気に近づく顔。


「――ッ、」


びっくりした顔をするさっくんの唇を塞ぐ。

強く唇を押しつけたまま、舌先に残ったアイスをその唇につけると…触れた冷たさに自然と口が開いた。
その隙に強引に舌を捩じ込む。


「…ん…」

「……っ、」


さっきよりも多い、舌の上にのっかっているアイスをさっくんの舌に擦りつけるようにして全部流し込んでいった。

多少口の端から零れたけど、まぁ自分からしたにしては良い方だろう。

どろどろと舌を伝わせてもう既に冷たくなくなってきたアイスをあるだけ流し込む。

…と、ごく、と塞いだ唇越しに相手の喉が上下したのがわかって、満足げに離れた。


「美味しい?」

「…っ、…はい、」


口元を手で押さえて、まだ驚いたような顔をして頬を朱に染めているさっくんに、
なんだか悪戯が上手くいったみたいな気分になって得意げに笑った。


「へへ、どうだ。オレだけが嬉しいより、こっちの方がさっくんももっともっと嬉しいだろ」

「…っ、…」


オレも美味しい。さっくんも美味しい。

いつもオレが食べてる時はさっくんは自分が食べようとしないから、
絶対にこの食べ方のほうがお互いに味をきょうゆうしあえるから、お得だ。

胸を張って、ふふん、と鼻を高くした。

さっくんの驚いた顔はあんまり見れないから、余計に楽しい。


「……はい」

「ふふん。そうかそうか」


微かに上擦った声が、先ほどのオレの言葉を肯定する。
そうだろう、と胸を張って得意気に頷いた。

それから、どうだった?オレの口移しうまかった?と聞こうとして、



「…まさか夏空様からお誘いいただけるとは思いませんでした」

「…へ?…ふん。まあな」



ぽつりと零された声音に、お誘い?と一瞬その言葉が引っかからなくもなかった。

けど、さっくんをびっくりさせられていい気分になっていたので、なんとなく頷く。

すると、


「…っ、嬉しいです」

「わ!」


がばり。
突然、ぎゅううっと骨を砕きそうな勢いで抱きすくめられた。

身体にキツく回された腕に、ぎゃぁああと軽く叫ぶ。


「っ、ぐ、ぐるし…っ、」

「嗚呼、夏空様が俺のことをそんなに想ってくださっていたなんて…」

「…?」


なんだか雰囲気がおかしい。
そう気づいた途端、ひょいとだっこされてそのままオレをお姫様だっこした状態でさっくんが立ち上がり、…歩き始めた。


「わぎゃ!いきなり動くな!」


落ちそうな気がして必死に首にしがみついていたら、ゆっくりとどこかにおろされる。
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