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払いのけたのはそっちなのに、跳ねた手を見て、余計に傷ついたように俯き、首を横に振る。
「今は、触られたく、ない…っ!」
痛々しいほどに涙を零す。ぼろぼろ、ぼろぼろと音が聞こえてきそうなほどの泣き方。
「どう、して、今、キスしたの?さっきの、めんどう、くさい、゛って言ってた、のも…っ、」
「…?あれは、あの人に言っただけで流羽に言ったわけじゃ…」
「っ、ぅ゛、ぅ…っ、」
「それに、そもそも流羽は男でしょ」
何故別の人間に言った言葉をまだ引きずっているのかと困惑する。
多少怖がらせてしまったのは反省してるけど、気にしてるとは思わなかった。
「ぞ、いう、ごと、じゃなく、て…っ、今も、おれ゛、にキス、した、理由…も、」
「…理由…?」
微かに聞き取れた言葉の真意をくみ取れない。
「し、がも、ま゛、また、おれ゛、正樹に、も、おがざれ、て…っ、」
「………」
あの男に精液をぶちまけられた顔から、胸から、腹部から、背中から、
…その、肚のナカから、他の男に注がれた欲を零し、泣きじゃくる流羽は、…あまりにも不憫で労しかった。
「っひ、く…」
喘がされ、泣き叫び続けたせいか、声がガラガラで掠れている。
「……」
「っ、や、やだ…っ、」
「…いっぱい入ってるね」
傍に寄り、足首を掴んで左右に大きく開かせた。
肚のナカから押し出され、ごぽっと音を立てて尻に垂れる感触に身震いしたかと思ったら、
手でそこを隠そうとする。
「みな、いで…っ、」
わざわざ膝を閉じ、泣き、それでもと手を必死にお尻の穴に伸ばす。
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