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09
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◇KEY
ハートの錠前がついた、銀のブレスレット「六合塚が注文してくれた、」チカによると、ネックレスについた鍵で開くものらしい。物理的な施錠の習慣が廃れている今、そのような仕組みのものは珍しい「こういうの集めてるの?」「集めているわけではない、」とりあえず着けてみようと差し出した私の左手首に、彼はブレスレットを嵌める。そして錠前に鍵を差し込んだ「だが…悪くないな、」人形は青年に鍵を掛けられる、
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◇CAROUSEL
チカと訪れた遊園地「こういうところは久し振りだね、」ここは仮装していても入場できるらしい。見ていく中で、目に留まった回転木馬「行ってらっしゃい、」赤いベルベットのスカートを持ち上げて、席につく。しばらくして軋んだような音と共に回り始める円盤「しばらく、ひとりになるんだね…」防護柵の向こう、彼がカメラを構えているのが見えた「ならないさ。ちゃんと見ててやるから、」人形は青年の前で揺られる、
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◇FERRIS WHEEL
ホログラムで彩られた観覧車「これ乗って帰ろうか、」彼女を向かい側に座らせると、ゆっくりと動き出した。窓からノナタワーが見え――『執行官』の自分に戻りそうになる「今は、ただのチカでしょ?」彼女に引き留められるうちにゴンドラは上へと行き、頂点に達そうとしている「だな、」ぎゅっと袖を握る彼女の意図は知っている。応えるように顔を上げさせ、唇を合わせた「それでいいの、」青年は人形の言葉で素になる、
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◇POCKET WATCH
アンティークの懐中時計「チカのお父さんの?」「そうだ。電池は切れているがな、」螺子を回せばくるくると針が動く、今では珍しい絡繰り仕掛けのものだ。誰かの意思で動くそれは、少し私に似ている「そっか…そういえばさ、」――彼の『お人形さん』になってどれだけ時間が経ったのだろう。そして「私達って、いつまで一緒なの?」彼は時計に目を向けて、答えた「さあ…これで測れないくらいか」人形は青年と時を刻む、
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◇TAROT
「さて、何が知りたいんだ?」縢がゲーム用にと遺していったタロットカードを切り混ぜる。シビュラがある今、このようなカードで運命が決まるなどとは到底思えないけれど「何だろう…」少し考え込んだ後、彼女は自分達の未来が知りたいと答える。期待に応え、捲ったカード「正位置の『世界』…『成就、完成、永遠不滅』だそうだ」「それって…チカと私は永遠に一緒、ってこと…だよね?」青年は人形との未来を求める、
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